「海辺の生と死」
次は「死の棘」か、コレだな。
確か、スーパー・エディターの故・安原顯氏が奄美大島を訪れて書かせたのぢゃなかったっけ?違ったか、安原氏のウソ?
小説というよりも、幼少期からの体験記だけど、奄美の民俗的な風習や日常などを描きながらも、そこに「聖なるもの」と「俗なるもの」が混在する土着の文化をシッカリと感じることができて、興味深く読めた。
奄美を訪れる百鬼夜行のような異形の芸人や、浜辺で食すために動物を殺す様子、洗骨という風習などを、まるで手に取るように、素のままに描き出している。
そんなダイレクトに生と死を見て来た島の少女の心の前に、ヤマトンチューのイケメン王子様が現れたのだ。憧れる王子様は、南の島で神話のように華々しく散るはずだったが、現実の俗な世界に戻って来てしまった。戦争が終わって“隊長さま”ではなくなった敏雄の堕ちた姿に、神話を求めていた少女は“狂う”しかなかったのだろうと思う。
吉本隆明氏が寄せた文も面白い。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。