「ネット怪談の民俗学」

ネット上の、匿名による怖い話、恐ろしい話、不思議な話…の類いは、当然のことながら次から次へと誕生している。

始まりは個人であっても、ネットで拡散されるうちに、多くのユーザーの手によって、加工され、新しい話も加えられて、ネット上を飛び越えて“都市伝説”みたく、まことしやかに語られることも多い。

それは充分「民俗学」の対象となり得るだろう。

新しいネット上のツールが登場すると、さらに便利になると飛び付くが、一方で、必ず負の面が現れて来るものだ。どんなに高度に発達したツールであっても、所詮、今は、アナログな人間が使うものであるから、そうした負の面の発散の場になりやすいからだ。

同様に、ネット怪談も、異なる者・場所への侮蔑、排外、差別が背景にあるものも確かにあるが、もともと負をベースにしたものだからこそ、発展・進化・拡散されやすいものだと考える。

2000年代のネット怪談の一大中心地は「2ちゃんねる」のオカルト板であったが、きさらぎ駅、スレンダーマン、赤い封筒、杉沢村、犬鳴村、カシマさん、コトリバコ、時空のおっさん、鮫島事件、三回見ると死ぬ絵、バックルーム…画像や動画も含めて、実に様々なストーリーが生まれている。

やはり、人間は常に物語を欲しているわけだ。現実だけでは生きて行けないから。

ネット怪談を巡って多くのユーザーが共有するものは負の感情である。


いいなと思ったら応援しよう!

TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。