【古典映画】「雪夫人絵図」
溝口健二監督の、1950(昭和25)年の作品「雪夫人絵図」。Amazonプライムにて。
木暮実千代演じる旧華族の美しいブルジョア夫人。
養子である夫は、父の死後、放蕩の限りを尽くし、愛人としてキャバレーの女を連れている。
夫が別荘に愛人を連れて帰る度に夫人は別れる決心をするが、夫との愛欲の行為に征服されて身を任せ、別れられずにいる。
そんな夫人に、幼い頃から家に出入りする青年をはじめ、好意を寄せる者も少なくない。
夫人は、夫との肉欲の行為もあって、青年と一緒になる決心はつかない。
夫人は心と肉体の矛盾にただ悩むだけ。
青年も夫から夫人を奪う強さはなかった。
夫は、別荘を旅館にして経営をキャバレーの女に任せるという。
夫人は今度こそ離婚を決意するが…。
「心はあっても肉欲が勝ってしまう。女ってなんて罪の深いものでしょう…」。
溝口監督には珍しくエロチック過ぎる展開。
虐げられる女性を材料に、人間の業に深く斬り込むより、先に、世情に媚びて“よろめき夫人”のエロスを真っ先に演出したような堕した展開で、コレは溝口監督の失敗作だと思う。
夜の性愛の場面も、当時としては精一杯の演出をしてる。
全体的に散漫な印象もするし。
山や湖畔の風景など、幻想的な美しい情景を使うのは溝口監督ならではと思うけど。
夫は悪だが、結局、夫人の妖しい魅力に負けて、青年も煮え切らずに、周りも傍観者で、誰からも救われることのない夫人は夫の子を宿したまま、悲劇の最期を迎えるのだ。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。