【古典邦画】「あいつと私」
またまた若き石原裕次郎主演の、1961(昭和36)年の日活作品「あいつと私」を鑑賞。監督は中平康(ナカヒラコウ)。
裕次郎の相手役は、清楚なイメージの芦川いずみ。吉永小百合さんは妹としてチョイ役で出演。
原作はまたまた石坂洋次郎の小説だが、(今は)陳腐であっても、当時の青春映画の原作の定番だったのだろうか?
郊外の大学生である黒川三郎(石原裕次郎)は、母親が有名な美容師で、裕福で複雑な家庭に育ったために、クールでニヒリスティックな性格を持つ。同級の浅田けい子(芦川いずみ)は、ごく普通の一般的な家庭に育った常識人。
この対照的な2人が徐々に距離を縮めて行って結び付くという話だ。「あいつ」が黒川で「私」がけい子だな。
どぎつい台詞も多いけど、ユーモアを交えて、学園生活だったり、お互いの家を訪問したり、友達も一緒に軽井沢の別荘に旅行に行ったりなのだが、当時の若者を取り巻く風俗や社会情勢も描かれている。
安保闘争に参加して警官に殴られてケガをするけど、友達の女子学生が、闘争を指揮するリーダーの学生に暴行されたり、道路工事の肉体労働者には学生の闘争なんて伝わらなかったり、ちょっと批判的なトーンで描かれ、やはり山の手の裕福な学生たちが主人公であることがわかる。
ラストに明かされるが、黒川は母親と、母親が優秀な遺伝子を世に残したいと考えて選んだ男との間の子供であること、10代だった黒川の旺盛な性への関心を発散させるために、母親がお手伝いの女性(SEXの相手)を雇っていたこと、いきなり実の父親が訪問して黒川に出生の秘密がバレること…と非現実的な展開で意外と面白かった。
「不潔よ!不潔だわ!汚い!」と連呼する芦川いずみがステキだ。もちろん高校生役の吉永小百合さんもカワイイです。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。