【洋画】「バロウズ」
YouTubeカルト映画鑑賞。
1984年製作のドキュメンタリー「バロウズ(Burroughs)」(アメリカ、ハワード・ブルックナー監督)。昔々、渋谷・ユーロスペースで観たと思う。
あの麻薬と銃器をこよなく愛するヘンタイ・ホモ・おじいちゃん作家、ウィリアム・S・バロウズ(97年8月に83歳没)の波乱に富み過ぎる生活を描く。
バロウズといえば50年代アメリカのビート・ジェネレーションを代表する作家で、「裸のランチ」(←コレはデヴィッド・クローネンバーグが原作をかなり変えた素晴らしい映画を創ってる)、「ジャンキー」、「ノヴァ急報」「ソフトマシーン」などの小説が有名だが、どれも詩や散文(難解なカットアップもある)を並べた、読むのに根気が必要な、クッソ面白くもないものばかり。でも、いろんな作家やロック・ミュージシャン等が彼に心酔してて、コラボ音源なども創ってるから、俺も注目してたのだ。
映画は、70歳を迎えたバロウズが、幼少期から、初の麻薬体験、破滅的な生活、数々の女たちとの体験と少年を愛する嗜好、さらに妻をウィリアム・テルごっこで誤って射殺してしまった事件まで、友人のアレン・ギンズバーグやテリー・サウザン、秘書のジェイムズ・グラワーホルツらの証言も交えながら描くもの。
「ホモの帝国を作りたい」「死ぬまでに人を殺したい」とのたまうバロウズ。いつもビシッとスーツで決めて、好々爺みたく飄々とラジカルなことを話す彼が、とても魅力的で、意外と面白かった。
バロウズの祖父は計算機を発明した人で、バロウズは有り余る信託財産を受けて、一応、医大に進学したものの、麻薬と男に散財したという。
道徳なんてクソッタレ、時に欲望のままに生きることで、文を切り刻んでアナーキーに再構築するカットアップを生み出し、ヘロインを超える至高体験を得た、生まれながらのジャンキーお爺ちゃん、全く羨ましいったらありゃしねえ。