母様

やっぱり我慢できなかった。

母様のいる部屋に入って、看護師さんが様子を説明する中、母様は、ハッキリと目を開けて俺をジイッと見つめたかと思うと、顔をゆがめてスウッと涙を流した。

それを見たら、もう涙腺崩壊、止めどもなくて、涙と鼻水でグチャグチャとなった。

側にいた看護師さんと集まった施設のスタッフも、「ああ、息子さんが来たのがわかってる…ちゃんと頷いている…」ともらい泣き。

もうイイやと人目も憚らずに過剰に母様の顔や身体を撫で回して、顔を近付けて「もう少し頑張って欲しかった。いろいろと苦労したね。ご苦労様。ありがとう。今週また来るからそれまで生きてろよ」と頬にキスしつつ話しかけた。

まだ顔は艶があって表情もシッカリとしてるけど、喉が水分や栄養剤、流動食を受け付けなくなってるから長くはないと思う。

それに、俺にもわかったけど、海の匂いのようなイヤ〜な臭いがしたから、多分、コレが死臭ってヤツかな。

もう死んじゃうのか、いなくなっちゃうのか…。

書いててまた涙が溢れてきた。


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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。