【古典映画】「カサブランカ」
「君の瞳に乾杯」…。1942年のアメリカ恋愛映画「カサブランカ(Casablanca)」(マイケル・カーティス監督)。
往年のハリウッド大スター、ハンフリー・ボガートとイングリッド・バーグマン、ポール・ヘンリードらが出演。
親ナチスドイツのヴィシー政権下の仏領モロッコの都市カサブランカが舞台。
過去に深く愛し合った男女が、時代の政情に翻弄され別れることになって、思いがけずにカサブランカで再会し、また燃え上がるものの、女を救うために男が身を引くという哀しい話だ。
オトナの男女の不倫に近い恋愛悲劇だなぁ。
帽子にコートのシブいジェントルマン、リックが、美しい女性イルザをエスコートしつつ、彼女を讃える詩のような台詞を自然に言う…やっぱり昭和育ちの底辺ジジイはこんなシーンにメッチャ憧れるがなぁ。
またイルザが、品があって一途なところがあって、可愛くて美しくて、眼がとても魅力的ときてる。
彼女は既婚者だったけど、夫ラズロは反ナチスドイツのレジスタンスの指導者で、捕まって殺されたと聞いて、悲しみ暮れている時に、リックと会って恋に落ちたのだ。
夫が生きていることを知って、イルザは何も告げずにリックの前から姿を消す。
1942年の公開だから、アメリカは日本と太平洋戦争に突入したばかり。ナチスドイツを悪としてるのはもちろん、親独のヴィシー政権のフランスも批判的に描いてる。
特に、カサブランカでリックが経営する酒場で、ナチスドイツの歌を歌う独軍士官に対して、ラズロがバンドにフランス国歌を演奏させ、店内の客も合唱するシーンが有名だろう。
映画ではナチスドイツのシュトラッサー少佐が出て来て、ラストにリックに銃で撃たれるが、実際には彼は確か“長いナイフの夜”で粛正されたのでは?
ヒロイン、イルザが夫ラズロか、再会したリックか、どちらと結ばれるかヤキモキしたけど、予想通り、リックと愛を確認し合っても、リックはイルザにビザを渡して、夫ラズロとカサブランカを飛び立つように仕向ける。
リックはイルザの身を案じて、身を引いて、ラズロのレジスタンスの活動である対ナチスドイツという大義を守ったのだ。
大義のために、大好きな女性を守るために、身近な愛を捨てるリック。
俺もそういうことには酔えるかもしれない。「君の瞳に乾杯!」だ。
リックとイルザの思い出の曲が「時の過ぎゆくままに(アズ・タイム・ゴーズ・バイ)」でメロディは知ってた。