【洋画】「シェルブールの雨傘」
ジャック・ドゥミ監督の恋愛映画、1964年の「シェルブールの雨傘(Les Parapluies de Cherbourg)」(フランス・西ドイツ)。Amazonプライムにて。
もの哀しい音楽はなぜか知ってた。
ミュージカル映画なのだが、ダンスはなくて、独白や何気ない会話、短い会話でも、台詞全てが歌となっており、原色で塗られた建物など、フランスらしいオシャレな雰囲気にハマってて面白い。
フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴの出世作である。
港町シェルブールに住む、若き17歳のドヌーヴ演じるジュヌヴィエーヴと、ニーノ・カステルヌオーヴォ演じる20歳の自動車整備工のギイは、結婚を誓い合った恋人同士。
ジュヌヴィエーヴはママと雨傘店を営み、ギイは病気で臥す伯母の面倒を見ている。
ジュヌヴィエーヴのママは2人が若過ぎることを理由に結婚に反対している。
そんな時、ギイに、アルジェリア戦争の召集令状が届く。ギイは戦地に赴くが、その間、雨傘店の経営が傾き、ある宝石商の男に助けてもらう。
宝石商の男はジュヌヴィエーヴに一目惚れ、求婚することに。
しかし、ジュヌヴィエーヴはギイとの子供を身籠っていた。
宝石商の男は、それを受け入れて2人の子供として育てようという。
ジュヌヴィエーヴは、ギイから手紙が届かなくなったこともあって、宝石商の男の求婚を受け入れる…。
ソフィア・ローレンの「ひまわり」も似たような設定だったね。激しく愛し合いながらも、戦争によって引き裂かれ、別々の道を歩むという…。
やはり、愛の中にあっても絶対は決してないのだ。絶対を誓い合った中だからこそ、必然的に別れも来て、お互いの立場を理解・納得するのも早いのかも。
ジュヌヴィエーヴよ、なぜ待てなかった(17歳には2年は辛かったか?)と、俺なんか未練タラタラ思うけど、2人とも家庭を持って、過去の想いはあっても、お互いの幸せを願うなんてポジティブで前向きなんだなぁ。
ラストの、偶然会ったジュヌヴィエーヴとギイが、お互いの幸せを確認するシーンが心に響く。
原色でPOPでありながらも、悲恋をテーマに、ズッシリと重く余韻を残す良い映画だった。
俺は、影でギイの叔母を助けてた、質素でシンプルな佇まいの、ギイの相手となるマドレーヌ(エレン・ファルナー)の方がいいな。