【洋画】「ニュー・シネマ・パラダイス」
昔、観て感動で泣いた映画を。1989年の、ジュゼッペ・トルナトーレ監督の作品「ニュー・シネマ・パラダイス(Nuovo Cinema Paradiso)」(完全版、イタリア)。やはり再び泣いたのだ。
人間は過去のすれ違いによって、その後の人生が大きく変わることは有り得ることであり、変わったから良かったことも、また良くなかったこともあるのだ。
また、男に多いが、過去にしがみ付いて、過去を想うからこそ、大きく生きる力を得ることもあるのだ。
人生に決して絶対ということはない。それは日本では“無常”(世の中の一切のものは常に生滅流転 して、永遠不変のものはない)というが、それだからこそ、移り変わりそのものに人生の美や哀愁を見出すのだ。
アルフレードの葬儀で、30年ぶりに村に戻った映画監督となったトトことサルヴァトーレは、懐かしい面々に出会う中で、最後に、駆け落ちしようと約束したけど逢うことができなかった恋人エレナの娘に偶然会ったことから、エレナと再会する。
お互いに年と経験を重ねて、冷静に当時の話をするが、実はアルフレードの配慮で2人は会えなかったことを知る。
「私と結婚していたら、あなたは素晴らしい映画は撮れていなかった。良いフィナーレだったわ。夜の夢は忘れましょう」と語るエレナに対して、「そうはいかない」と過去の愛にこだわるサルヴァトーレ。男女の違いが如実に現れる。
アルフレードがサルヴァトーレに遺したフィルムの断片は、少年の頃、観たかった名作映画の中で、神父によってカットされたラブシーンの集成だった。過去の追憶に浸るサルヴァトーレ…。
昔、映画館は社交場だったのだなぁ。村の唯一の娯楽として、いろんな人々が集い、スクリーンを観て、それぞれ喜怒哀楽を示す。
アルフレードは、学はないものの、トト(サルヴァトーレ)の人生の先生だったわけだ。後半の彼が話す言葉が深くて胸を打つ。
少年の頃にワクワクしながら観たいろんな映画が、サルヴァトーレのその後の人生そのものになるのだ。ラブシーンを観ながら隠れてオ◯ニーをしたり、誰もいない映画館で娼婦とまぐわったり、隠すことなく、男の人生に欠かせない、性愛のシーンも入れてるのが素晴らしい。
素晴らしい映画は何度観ても新たな感動をもたらすものだ。いや〜、映画って本当に良いものですね〜。
トルナトーレ監督の最大の人生賛美映画だな。
作中に出てくる古い映画の中でいくつかは観た映画だった。
サルヴァトーレ「兵士はなぜ土壇場で去ったか。あと一晩で王女は彼のものだ。でも、もし王女が約束を破ったら、兵士にはそれこそ救いがない。彼は死ぬしかないだろう。でも、99日で止めれば、王女は自分を待っていたと思い続けられる」
アルフレード「兵士を見習え、トト。ずっと同じところで暮らしていると自分が世界の中心だと思えてくる。何もかも不変だと思えてくる。そんな奴は数年離れただけで変わりように驚き、頼りの糸を失ってしまう。会いたかった人も見つけられない。ここを出ろ。一度出たら帰って来るな。何十年も帰るな。年月を経て戻ってくれば、昔馴染みや懐かしいものに再会できる…もうお前と話したくない。私たちを忘れろ。ただ噂を耳にしたい」
母「あんたの世界はアッチよ。ここには過去の亡霊がいるだけよ。そっとしときなさい」
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