「あさきゆめみし 第10巻」
完結第10巻は番外編。
すでに亡き光源氏の末子とされた「薫の殿」と、光源氏の孫でプレイボーイの「匂の宮」、2人のイケメン貴公子から熱烈に愛されて、契りを結んで苦悩する、身分は低いが、世間知らずで純真な美女「浮舟」。
思い悩む余り、ついに宇治川に身投げすることに。
でも、運命は、美女を死なせることはしない。助けられた寺に身を寄せる中、現世における2人の貴公子の想いを忘れられずに、世をはかなんで、強く出家を決意する「浮舟」であった。
「人は木石ではありません。いくら世の無常を悟っても、人は情というものを持っております」(by薫の殿)
無常ということをわかってはいても、素直に無常に身を委ねることができないのが、情のある人間なのだね。古典をたしなむと無常感が身に沁みるぜ。
「源氏物語」は、3部に分けると、第1部は、光源氏が、様々な女君との交渉を重ね、須磨・明石へ流されるという挫折もありながら、誰にも劣らないイケメンぶりと秀でた芸能に相応しい位を得る。義母である「桐壺帝」の妃「藤壷」との間に密かに子を設け、その子が天皇となり、本当の父である光源氏を臣下としておくわけにはいかないということで、准太上天皇となる。
第2部は、40歳となった光源氏。新たに妻となった「女三宮」を「柏木」という男に奪われて、自らも不義の子を抱く。最愛の存在であった「紫の上」も死を迎え、ついに“隠れる”ことになる。
第3部は続編。光源氏の子孫の物語。第2部の不義の子「薫」とライバルとして光源氏の孫「匂の宮」。宇治の八の宮の3人の娘を巡る恋の物語。最終的には、「浮舟」と呼ばれる娘を2人で争い、その板挟みになった「浮舟」は宇治川に入水。しかし、横川の僧都とその母に救われ、比叡山の麓の小野に出家して過ごす。その事を知った「薫」が訪ねようとするのを拒んで終了。
長い長い、レディ・パープル(紫式部)による、我が国最高峰の大長編小説だったけど、“ジジイとなってやっとわかる古典の魅力じゃ”ということで、小説、コミック、映画と充分、堪能したぜよ。