「戦後日本の大量猟奇殺人」
戦後すぐの混乱期(昭和20〜30年代)は、5人以上を殺した大量殺人事件(スプリー・キラー)が数多く発生している。
中でも有名なのは“性獣”こと「小平義雄」(10人連続強姦殺人)だと思うが、敗戦直後で、国民は困窮生活を強いられてた時代であり、まだ警察機能がちゃんと整っておらず、人の心も荒れてたこともあったろうと思う。
戦争中に大陸や南方への出征で、残虐行為による殺人の味を覚えて、その快感が忘れられずに…といった動機も多い(小平義雄もそう)。
快楽による殺人もあるが、たいてい事件の背景には怨念、憎悪、遺恨、不憫といった、ある種、日本特有の精神構造により、家族や血縁、身内に矛先を向ける事例が多い。政治絡みもあるけど。
現代と違って、閉鎖的な“ムラ”社会で、濃ゆい(せざるを得ない)人間関係と強い血族の繋がりから、ちょっとしたことがキッカケになって、欲と刹那主義の暴発と至るわけだ。横溝正史他の探偵小説にもそういう題材が多い。
戦後の新秩序が整う前で、良くも悪しくも、裏も表も、強い本来の人間性が発露してたのだろうと思う。
この本には海外の事例で、“サムの息子”ことデヴィッド・バーコウィッツを取り上げるが、日本のように被害者に同情する感情よりも、社会・秩序・法を破壊した行為として断罪を求める声が多いのはアメリカらしいね。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。