「フェリーニのカサノヴァ」
「フェデリコ・フェリーニのカサノヴァ(Il Casanova di Federico Fellini)」(76年)を鑑賞。
どぎついゲージュツ的過ぎる映画で知られるフェリーニ監督だけど、コレも、なんともコミカルな、エロス、グロテスク、ナンセンス、悪趣味の溢れた作品だった。
生涯に1000人の女とヤったという自伝を残したヴェネチア出身の作家、ジャコモ・カサノヴァの性豪っぷりを描いたものだけど…。
まず主役のカサノヴァが、ばっちりオカマメイクで頭の頂点までオデコ全開のヘア?スタイルで、インパクトある風貌。こういうのが昔の貴族のオシャレだったのか?
出てくる女も男もメイクばっちりで、着るのに時間がかかりそうな、中世の貴族を極端にしたようなファッション。女は幅の広いフレアスカートをめくるとデンとした巨尻。もうフェリーニ特有のグロテスク色満載だ。
黒いビニールが揺れる海や段ボールで作ったような城など、チープ過ぎるオブジェがいっぱいだ。
まあ、行く先々で女をナンパしてヤルだけの物語なのだが、コミカルなチンドン屋みたいな音楽が流れる中、女の上に乗ってリズム良く軽快に腰を上下させる。最低限の服は着てて、決して全裸にはならない。
覗き穴から王が見てる中、女と絡んでカサノヴァ得意のテクを披露したり、老いた貴婦人とヤルため、近くで若い従者の娘に尻を振らせたり(勃たせるため)、1時間にどちらが多くヤレるか御者と観衆の前で競争したり…etc、イヤハヤ退廃的でエロチックなシーンがこれでもかと続く。でも、コミカルな明るい描き方で決してイヤらしくはないのだ。
フェリーニ監督ってこんなんだったっけ?!
先日の、ヴィスコンティ監督が伝統的で品格ある高貴なブルジョアの美を描いたのに対し、フェリーニ監督のは徹底的に俗悪で堕ちた醜悪なる美だ。どっちも好きだけどねー。
カサノヴァの晩年を描いたラストは、夢の回想シーンが出てきて、人形(のように動く女だが、演技がメッチャ上手い。彼女ともヤっちゃうのだが)とダンスするシーンなど、幻想的で美しいね。
「女は男より人間的だ。女の悪口を言わない男は女を愛せない。女を愛し理解するには苦しまなきゃならない。そして、その時だけ男は幸福だ」
「一晩に七回もできるのは動物的精力だけでは無理だ。才気と知性と教養を身につけた肉体だけだ」
byカサノヴァ
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。