【邦画】「遥かなる山の呼び声」
なんとなくストーリーがわかった、山田洋次監督の、1980(昭和55)年の松竹作品「遥かなる山の呼び声」。
北海道を舞台に、高倉健に倍賞千恵子、幼い吉岡秀隆、武田鉄矢、渥美清…と、「幸福の黄色いハンカチ」や民放TVの「北の国から」にも似てる設定。山田洋次監督らしい正統派のヒューマンドラマである。
「男が生きていくには、我慢しなければならないことがいっぱいあるんだ」。
健さんの寡黙であるキャラそのままのイメージの作品だ。
それにしても、舞台となった北海道東部の小さな町の、春夏秋冬の自然の風景は見事だ。
夫を亡くして一人酪農を営む民子(倍賞千恵子)と息子の武志(吉岡秀隆)。
嵐の夜、そこに一人の男(高倉健)が、雨宿りさせてくれ、と尋ねて来る。
民子は納屋を提供する。
翌朝、男は去って行くが、後日、再びやって来て、働かせてくれ、と願い出る。
母子は、優しくて働き者の男と徐々に心を通わせて、民子には夫のように、武志には父親のようになっていくが、実は、男は、誤って人を殺してしまい警察に追われている身であった…。
確かにアメリカ映画の「シェーン」みたいではあるが、喜劇の要素が強かった「幸福の黄色いハンカチ」よりは、コッチの方が健さんの真面目で寡黙なキャラが際立ってて良いと思う。
「シェーン」のようにただ別れで幕ではなく、健さんが警察に護送されていく電車の中で、脇役のハナ肇が民子に問いかける体裁で、帰りを待つことを伝えることで、ハッピーエンドに終わらせるところは、まさに山田洋次監督らしい演出だろうと思う。
警察に自主する前に、ようやく民子が、「行かないで、寂しい」と健さんに抱き付くが、健さんも民子も、愛情を相手に素直に表現できないという、一昔前の実直な日本人という設定が、やはり懐かしいかもしれない。
民子(➕武志)と健さんの交流と愛情が丁寧に描かれ、イイなぁ、とシミジミ思わせる感動を呼ぶ人情劇であった。










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