【邦画】「夢」
黒澤明監督の、1990年公開の「夢(Dreams)」。
監督自身が見たという夢を題材にしたもの。全8話のオムニバス形式。クロサワさんの大ファンであるスピルバーグが協力したという。
極個人的な内省的作品で、クロサワさんらしい迫力とダイナミズムがないなぁ。晩年の作品だから、老いた監督の名作ならぬ“迷作”かも。
夢は荒唐無稽なものだから、見たといっても、盛ったりして、ちゃんとストーリーを作ってるのだと思うけど、公害や原発、戦争を批判するようなイデオロギッシュな作品もある。子供らしい(幼少期に見たもの)微笑ましくなる幻想的なものも、ギョッとするホラー的な要素のものもある。
本来、極私的でデタラメな夢をそのまま映画にしようとすると、やっぱり、つまらないものになるってことがわかるね。
三島由紀夫が、クロサワさんを「すばらしいテクニシャンだけど、思想は昔の中学生並み」と評したこともわかるよ。無理して当時の社会の風潮におもねったりするから底が浅いと思えたりしてさ。
コレで黒澤作品は全30本のうち、半分は観たけど、ホントに「世界のクロサワ」なのかしら?と思うものもあるなぁ。小津安二郎さんとは違うね。
最後の夢に笠智衆さんが出てるのも勿体無く感じる。
各夢の最初に「こんな夢を見た」と文字が出てくるけど、漱石ちゃんの「夢十夜」と一緒じゃん。
(絵と合わさったような)自然の風景描写が素晴らしいというけど、大したことはない。
俺は夢から覚めてしまった(笑)。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。