【映画】「ガンジー」
1982年のアカデミー賞受賞作「ガンジー(Gandhi)」(英・印・米合作、リチャード・アッテンボロー監督)。
インドの独立運動の指導者で、非暴力主義・不服従で有名なマハトマ・ガンジーの伝記映画。
これも3時間を超える大作。史実に沿ってるだろうから、ガンジーの思想と行動を知る材料になったと思う。
しかし、長過ぎて、歴史の教科書のようで、イマイチ盛り上がりに欠けるような気もする。
弁護士だった青年時代のガンジーが、南アで白人から差別を受けて、仲間たちと抗議活動を行い、逮捕されたものの、無抵抗・不服従だったガンジーに対して、警察が暴力を振るったことに抗議の声が上がる。
インドに帰国後、ガンジーは人種・宗教・階級の垣根を超えた共同農園を作り、その思想と行動は新聞等で広まり、イギリスからの独立運動は拡大していく。ガンジーの青年時代から、晩年、ヒンズー教過激派に暗殺されるまでを描いたものだ。
俺がまず驚いたのはエキストラの数(笑)。大勢の群衆が集まってるシーンがけっこうあるけど、ハンパない人の数々。30万人以上のエキストラで、動員した数としては最多記録でギネスに認定されたという。
非暴力と不服従、それに寛容…確かに憎悪は連鎖していくだろう。相手を攻撃すれば、相手も守りから攻撃せざるを得なくなり、後には憎しみしか残らない。人間の文明が進化してるとすれば、本能に基づく暴力を止めて、高度な社会性を身に付けて、全てに寛容であるべきであろう。理想は。
でも、なかなかそうはいかないのが人間だ。まず、宗教からして排他的で暴力的なのだから。それに文明は過剰な消費と経済発展という禁欲、ストイックとは真逆の行為を抜きには成立しないから。
共同農園を作って自給自足の共同生活を送るなんてアナキズム・コミューンでもあるね。自由とはいえ、そこは規律と秩序が必要で、ガンジーは自分だけじゃなく、家族や親族にも禁欲とストイックな生活を強いていたらしい。もしかしたら、そのあたりに伝えられたガンジーの虚像と実像が垣間見えるのかもしれない。けっこう気難しい人だったのかも。
まあ、いろいろと混乱する時代という歴史的背景もあって、ガンジーのようなカリスマが大衆にウケて、実際に政治を動かしたのかもしれない。
ガンジーは祈りと断食によって暴力に抵抗したが、やはり限界があった。寛容なことに反対する過激派を産んだ。そして、過激派の凶弾に倒れる。
イギリス領インド帝国は、ガンジーが望まなかった宗教対立からインドとパキスタンに分かれて独立することになってしまった。
両国ともカレーは美味いんだけどさ(笑)。
俺は、健康と自分の美学のための禁欲とストイック以外は、どこまでも貪欲でありたいけどなぁ。特にアッチ(小指)は。理想だけど。