オドラデク
「それはひらたい星形の糸巻きみたいな形をしていて、実際、糸が巻いてあるようだ。と言っても、その糸は切れた古い糸で、だんごみたいな結び目ができていて、種類も色もまちまちの糸がフェルト状に縒り合わせてある。でもそいつは糸巻きであるだけでなく、星の真ん中から棒が垂直に出ていて、そこからまた直角に棒が出ている。その棒と星のぎざぎざを二本の脚にして立っている」
……フランツ・カフカの短編小説「家父の心配」より。
「それ」が「オドラデク」である。
文で表現できるが、実際に現物を全く想像できない。「それ」が、いったいなんなのかもわからない。「変身」の毒虫の方がまだわかりやすい。
カフカの小説は全部ハッキリとしない。いつも、一歩踏み出したいのだが、次から次へと邪魔する要因が起こって、なかなか踏み出すことが出来ずに、同じ場所で悶々としてる。ホントにイライラする。
カフカの徹底したネガティブな思考と時代に対する漠然とした不安が生み出したものなのだろうか。
想像の世界でも、こんなものを産み出すなんて、とにかくカフカは地味で真面目なトンデモないガイキチの天才だね。
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