【邦画】「濹東綺譚」
1992(平成4)年公開の、新藤兼人監督の、ATG最後の作品「濹東綺譚(ボクトウキタン)」。Amazonプライムにて。
津川雅彦と墨田ユキがメインキャスト。
芸妓遊びが大好きだった、好きなエロい小説家・永井荷風の同名小説をベースに、主人公を荷風本人にして、東京・下町の私娼・お雪との逢瀬の日々を描いたもので、墨田ユキの、壊れそうに細いけど、エロ溢れる官能的なオールヌード(ボカシ入りだが)が話題となったよね。
79歳の荷風が独り、部屋で胃潰瘍で死ぬまでを描いているが、飄々として、女だけに関心を持って追い求める、荷風の色に生きる姿が、津川雅彦にはピッタリかも。
文学者が苦悩の末に死ぬのを問われて、「僕は、文学について、死ぬ程悩んでないから自殺はしません」と答えるし。
そして、杉村春子演じる母に説く。
「女を抱いた後の独りになった孤独の寂しさも捨てがたいのです。男に肉体の歓喜を与えない女はどうして女の値打ちがありましょう。僕の文学と僕の女は一体なんです。だから僕は家庭なんぞに縛られたくない。子孫繁栄を望みません。ただ僕は理想の女に出会いたいのです」。
母は、「しっかりとおやんなさい」という。さすがだ。
墨田ユキ(今、どうしてるのだろう?)のお雪も、肌が雪のように白くて、面長で鼻筋の通った瓜実顔で、商売を超えて、荷風に甘える仕草が素晴らしくエロくてカワイイ。たまらん。
50代の荷風と20代のお雪だが、お雪が「あなたの奥さんになる」と言うと、荷風は納得して、「明日迎えに来る」と答えるが、翌日から店に姿を見せなくなる。狡猾ともいえるが、家庭はいらないとする荷風なりのダンディズムかもしれない。
老境の荷風は、ただ独り、下町をフラフラと散歩している。時折、隠れてお雪の姿を見ながら。
親戚縁者との付き合いも一切絶った荷風は、東京大空襲や終戦のゴタゴタに巻き込まれながらも、たった独り、部屋で野垂れ死ぬ…。
俺にとっては理想的な人生の終わらせ方だなぁ。老いと孤独と性と、自由な生き方を貫いた荷風の姿勢に共感できるよ。また「断腸亭日乗」でも読みたくなった。
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