「水木しげる漫画大全集 103」
地元の図書館に、全集が揃ってたはイイけど、全108巻(➕補巻5巻)もあるぢゃないか!
「屁のような人生」(瞬時に消えていく屁のようなものに価値を見出し満足する)を歩んだ「水木しげる」大先生だけど、貸本漫画の時代から、とにかく膨大な作品量だから、このくらいになるのは仕方がないのかもね。
少しづつ読んでいくかねぇ。ということで、漫画よりも、様々な雑誌・新聞等に発表したエッセイやコラム、随想、雑事雑感、文字でまとめた最後の巻から。
水木先生の文章は、決して難しい言葉を使わずに、悲惨な戦争体験を書いてても、気の抜けるような平易なものでリズムが良くて、引き込まれて可笑しくなる。
睡眠をとても愛し、南の島に“楽園”を見て、どこかスッ突ぼけた感じが、コチラにも伝わって、気が緩む。
専門の妖怪でも、幽霊でも、不思議な出来事でも、ありのままを受け入れて、そのまんまを書いてるから、最初から罪がない。
そう、妖怪も幽霊も、「いる」んじゃなくて、「ある」んだね。例えば、科学的な唯物論の見地がおそらく正しいのだろうけど、それには人間の自然が適合しない。人間は、自らの体験をストーリー化して、ドラマチックに語って自分のものとする。だから、人間の生活には宗教が欠かせなくなるのであって、どんなに否定しようとも、常に不思議な体験を求めるのだ。
人が発見するから、「いる」のではなく、すでに、そこに「ある」のであって、たまたま人が出会うのである。そして、水木先生は、誰よりも、「ある」ものを感じる能力に長けていたのだろう。これぞ、真に宗教であり、民俗学であり、妖怪学であるのだ。
ここに掲載された数多い水木先生の文章の中で、どれも面白くて甲乙つけ難いが…、
新婚初夜に奥さんと“ヤリ方”がわからなくて穴を間違えた話、
人が死ぬ時は、全てのことに対して一つづつ興味をなくして無関心になって、少しずつ死ぬること、
仕事をするのが嫌いなのが普通の人間という話、
楽しいことはなくても、耐えられない苦しみだけは避けようという切り札のこと、
若い頃、「ゲーテとの対話」(エッカーマン)を暗記するほど読み込んだことと哲学書を読み漁った話、
目に見えないものを見ることと霊的なものを捨ててはいけないこと…。
いやぁ、いっぱいあるな。
最後の漫画「わたしの日々」なんて、読んでるコッチが好々爺になって来るくらいに緩くて、ぷすぅっと屁が出そうになるね。
水木大先生は仰る。「漫画はフツーに面白く読めなきゃイカンのです」。
水木大先生は左腕がない。俺は右腕が麻痺で使えない。勝手に親しみを感じる。
水木しげるの人生絵巻。ゲゲゲ。
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