【洋画】「アニエスによるヴェルダ」

“ヌーヴェルヴァーグの祖母”ことアニエス・ヴェルダ監督の遺作となった作品「アニエスによるヴェルダ(Varda by Agnes)」(2019年・フランス)。Amazonプライムにて。

2019年3月に、90歳で没した同監督が、1955年のデビュー作から2017年の最後の作品まで60年以上にわたる自身の創作活動を、講演会(?)において、当時の様子を交えながら語る形のフィルムだが、まるで遺書みたいだし、自分の死期を知っていたのだろうか?

セルフ・ポートレートといえるけど、数々の映画賞を受けて来た同監督の名前は知ってても、作品は最近になって観た。ジャック・ドゥミの奥さんなんだよねー。

ファッション・ブランドのアニエスベーと関係はあるの?

映画は、「ひらめきと創造と共有」と話す彼女は、少年のような個性的な風貌(妖怪みたい 笑)で、フランス人らしい知的なユーモア溢れる口調で自身のフィルモグラフィーを順に語っていく。

映画を撮る前はフォトグラファーだったのかぁ、絵を切り取ったような描写など、納得。

何よりもアートに重き信頼を置く彼女は、それによって国や文化、宗教、年齢を超えて交流できる利点を述べて、日常で見落としがちな人間や物への優しい視点を持つことの意義を主張する。その上で、どういう意図で作品を撮って来たのかが語られる。

ヨボヨボに老いても、インスピレーションを得る無邪気な興味だけは絶対に忘れない姿勢はとても素晴らしい。

たいてい、こういうフィルムは自己満足で終わってつまらないものが多いが、コレは示唆されることがいっぱいで面白かったです。


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TOMOKI
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。