【ドキュメンタリー映画】「さくら隊散る」
新藤兼人監督の、1988(昭和63)年のドキュメンタリー・ドラマ、「さくら隊散る」。
昭和17年から活動していた、各地を移動する演劇集団「さくら隊」を追った再現ドラマを入れたドキュメンタリー。ナレーターは、お馴染み乙羽信子。
社会派作品も撮った新藤監督らしい作品だ。
さくら隊は、演劇の内容が、戦時に好ましくないと特高に引っ張られたこともあったが、演劇興行を続けて、昭和20年8月6日に広島に滞在しており、原爆投下のために、劇団員9人が、後の原爆症(放射線障害)も含めて、命を落としている。
さくら隊という劇団は、隊長の丸山定夫や女優の園井恵子、仲みどり(初の原爆症認定患者)は全く知らないが、宇野重吉、長門裕之(子役)、杉村春子、殿山泰司も関わってたとは。
劇団員が、原爆症になってからの、髪が抜けて、全身に黒い斑点が出来て、熱い、熱いと水を求めるか、全身が痛い、痛いとのたうち回る姿は辛くて観てられない。新藤監督のことだから忠実に再現したのだろう。強烈な反戦の意図を感じる。
「原爆の子」を撮った新藤監督だから、これも原爆の惨状・被害をメインに描いたものだが、同時に戦時下の左寄りの劇団がどのように活動したのかを伝える貴重な証言でもある。
杉村春子は、隊長・丸山定夫について、「絡んだ俳優の心にまで影響を与える演技であった」という。
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