【邦画】「潮騒」
ホリプロと東宝の提携作品「潮騒」。1975(昭和50)年の、百恵ちゃん・友和さんコンビによるもので、監督は西河克己。もちろん原作は三島由紀夫。
「潮騒」の映画化は、これまで5作品が作られているが、俺の年代ではコレが一番、親しみがある。
前に、吉永小百合さんと浜田光夫さんコンビの作品(昭和39年)を観たが、小百合さんと比べると、百恵ちゃんはもっと幼くて暗くて傷付きやすく純粋なイメージがする。友和さんは頼れるアニキって感じだが。
次の、昭和60年の堀ちえみさんと鶴見慎吾さんはミスキャストだと思うけど(笑)。
やっぱり、嵐の夜、監的哨跡で、2人が濡れた服を乾かすために焚き火の前で裸になって、初江が「その火を飛び越して来い」と言い、火を飛び越した新治と初江が裸のまま抱き合うシーンが一番の見どころだろうな。
小百合さん程ではないが、百恵ちゃんもいじらしい可愛さが溢れている。
新治と初江の2人は純粋ゆえにとてもエロティックであり、肉体の交わりがないからこそ、見た者は激しく想像を掻き立てられるのだ。
純愛の成就が死に結び付かない、三島にしては珍しく健康的な作品だ。
日本的な、噂がすぐに広まる土地柄の狭い島で、三島が感銘を受けたギリシアの神々のイメージにも近い、健康的な肉体を持つ若者が紆余曲折を経て美しく結ばれるという通俗を許さないような牧歌的な作品である。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。