「歴史書 古事記」

一応、現存する”倭国“最古の歴史書であるが、これまで、抄訳や漫画等も含めて数回、触れては来たものの、決して面白くはないね。

最初の国産みも、イザナギとイザナミの“成り合わざるところ”と“成り甘れるところ”を併せて…ってのがないし、この本は歴史の教科書みたいだ。

歴史書といっても、権力者(豪族や天皇)が国を治めるために、都合の良いように神話・伝承を交えて、創作したものに過ぎず、リアルな歴史を記した書ではないし、特に、皇室の系図は何度も書き改められている。後世に創作された人物も多い。

まだ、前半は、高天原や黄泉の国、天の岩戸、八俣の大蛇、因幡の白兎など、ドラマチックに語られる神話が多いからいいけど、後半は天皇の争いだけでクソつまらねぇ。

基本は、大国主神をメインとする物語と、天照大御神にまつわる物語で、当時の“道徳教育”的な性格の内容でもある。

神といっても、西洋の絶対的な唯一無二の存在(ヤハウェ)ではなく、一木一草に、たくさんの神がいて、人間と同様、イイ奴も、悪い奴も、乱暴者も、気の弱い奴も、詐欺師も、策略家も、様々いるのだ。そうなれば、もう神とはせずに、人間でいいじゃんかと思うけど。

古事記が完成したのは712年(和銅5年、日本書紀は720年)、大和朝廷、聖徳太子、天武天皇の後である。

「そもそも宇宙の初めは説明しようがない。全てがクラゲのように漂って混じり合った中に、世界の根元が固まっていても、まだ生命も形も現れていなかった」…。

つまり、もともとコアとなるものがないところで、ポツポツといろんな生命が生まれて、流れては、また消えていく。←無常感
日本国の真髄はコレに尽きるね。

そういえば、最近、コンビニの本・雑誌のコーナーで古事記を見かける。絶滅寸前の不安全開な社会で、自分が住む場所の歴史を知り、そこに優位性を見つけ出し、揺るがないアイデンティティを確立させたいという意図が働いていたりして。由々しきことだけど。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。