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「恐怖の報酬」

ガキの頃、TVで観て、ハラハラドキドキ感動した「恐怖の報酬(Sorcerer)」(77年・米)。監督は「エクソシスト」のウィリアム・フリードキンだ。後で知ったけど、仏映画のリメイクだったのか。

山の上の油田で爆発事故が起こる。炎を爆風で消すことになり、遠く離れた倉庫にあるニトログリセリンを運ぶことになる。高額の報酬で、4人の男が選ばれて、ボロボロの2台のトラックでジャングルの中を運ぶのだが、4人は地獄を見る…。

舞台は、ジャングルに囲まれた南米のスラムみたいな町。薄汚れたヤバそうなヤツがウロウロ、ぶっ壊れたクルマが交差し、アブない軍隊や警察、反政府ゲリラがあちこちにいて、まるでブルハリアのデスコアがピッタリの硬派な場所で、チョー俺好み。

そんな町に逃げて来たマフィアや殺し屋、詐欺師、テロリストの4人の野郎たちが2台のトラックにニトロを積んで、火災現場まで危険な旅に出るのだが、ジャングルの道無き道で、行手を遮る泥濘、崖、土砂降りの雨に加えて、崩落寸前の吊り橋、道を塞ぐ巨大な倒木、出没する反政府ゲリラなど、困難に次ぐ困難に見舞われる。

豪雨の中、吊り橋を渡るシーンなんて、まさに手に汗握るってヤツだ。南米に絶対いそうな欲だけのゲリラと殺し合うシーンもカッコよくて小躍りしそうだ。

70年代の映画にしては、爆発事故からかなりリアルで、男は黙って行動しろ!の通りにセリフも少なく緊張感と焦燥感を高めてる。そういや女が少ししか出てこない。野郎のための野郎臭い映画だ。後半、困難を終えて仲良くなりかけたところで、無情にも死んじゃうってのが闘う野郎の悲劇でこれまた素晴らしい。

1台残ったトラックも、ついにガス欠で止まってしまい、独り生き残った主人公のロイ・シャイダー(「ジョーズ」の署長だ)がニトロを自ら抱えて歩いて運ぶなんざ、これぞ究極の男だぜ!って感じで惚れちまうがな。

俺みたいな昭和世代は、クズ男が一発逆転を狙って八方塞がりの命まで脅かすような危険な事に取り組むという、寡黙でスリリングな汗臭い殺伐とした男の世界が大好きだと思う。

リメイクだけど、俺には傑作だった。オリジナルも観たいぜ。あっ、音楽がタンジェリン・ドリームなんだな。

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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。