「ブラック・サンデー」
1977年公開のドキュメンタリータッチの米映画「ブラック・サンデー(Black Sunday )」(ジョン・フランケンハイマー監督)。
パレスチナのテロ組織「黒い九月」(懐かしい!)の協力を得て、米国内で大規模なテロを画策する過激派組織の女指導者と精神を病んだ元ベトナム戦争帰還兵士。イスラエル軍諜報部のリーダーやFBIは2人を突き止めテロを阻止しようと奔走する…。話題になった小説の映画化なんだね。
テロを起こそうとする場所が「パニック・イン・スタジアム」と同様、8万人が集まり大統領も来席するプロフットボールの試合が行われるスタジアムで、当日、スタジアム上空を飛ぶ予定の宣伝・撮影用の飛行船を乗っ取って、下部に付けたプラスチック爆弾を爆発させ観客全員を虐殺しようというのだ。
指導者ダーリアがクールで沈着冷静な美しい女テロリストであるのに対し、ベトナム帰還兵のランダーは急に激昂したりする一方で、テロ計画が失敗しそうになるとビービー泣き出してダーリアに甘えるようなサイコパス男(PTSD?)だ。
そもそもテロを計画した理由も、ベトナム戦争で捕虜となって屈辱な体験をし、帰国すれば妻には裏切られ、世間には相手にされずに、「チクショー、お前ら、復讐してやる」と逆ギレしたわけだから。それをダーリアが政治的目的に利用したのだ。
観ててテロリスト、特にイスラエルと闘うダーリアに同情してしまうのは俺が左寄りだからか(笑)。思想信条よりも、幼少期からの家族も殺された悲惨な体験から、イスラエルとアメリカを憎むようになるのもわからないではない。負の連鎖だけど。サンデーはテレビに映ることのない社会の影となった人間たちの怨念を差すらしいし。
後半の、テロリスト2人とイスラエル軍諜報部の戦いは、まさに手に汗握るってやつだ。
諜報部のリーダーが、上手く飛行船に乗り込んだ2人をヘリコプターで追って、ヘリから飛行船に飛び移りロープを引っ掛けて、飛行船を海まで引っ張り、テロを阻止する。テロリスト2人は銃撃で死ぬ。
でも、爆発は阻止できたけど、途中、飛行船の一部がスタジアムに突っ込み、逃げ惑う観客でスタジアムはパニックの場と化すのは「パニック・イン・スタジアム」と一緒だ。
もう古い映画だけど、政治の季節に撮られた迫力満点のアクション大作だったよ。政治的内容だけに、日本での公開当時、映画館にテロ予告(結局、イタズラ)の電話があったという。