「血だるま剣法・おのれらに告ぐ」

いわゆる“ガロ系”の漫画家、故・平田弘史氏の、実に40年以上に渡って発禁・封印されてた作品(青林工藝舎刊)をゲット。

オリジナルは1962年に貸本屋向け単行本として発行された。この作品が世に出た時、当時の“解同”によって、内容が差別を助長するものとして激しく糾弾され、版元は回収・廃棄・絶版処分をしたのだ。以降、長い間、どこの出版社からも復刊されなかった。

一気に読んだけど、凄まじい劇画だった。“路地”出身の剣士が、身分を隠して剣の道で“路地”を救おうと稽古に励むが、師匠からも出自のことで裏切られて、弟子たちにも疎まれて、復讐の鬼となって、次々と一門の弟子たちを襲って斬るという内容。

自らも両手両脚を斬り落とされて、ダルマのようになっても、修行を積んで復讐を諦めない。素早く這うために、ヘビの動きを真似て、岩に腹を擦り付けてウロコのようにしたり、斬り落とされた両腕に刀を縛り付けて、木から落下する勢いで敵を倒したり、もうスゴいね。

残酷で惨たらしい内容は当時の劇画(白土三平先生も)ではよく描かれたことだけど。

復刊だから伏せ字も多いけど、差別問題は別にしても、劇画というリアルがリアルを超えて読者に訴えかけるものは充分にあると思う。それが過剰に残酷なものであっても、現代よりも死がとても身近にあった時代を材料にした、激しい人間讃歌だと思うね。バッサバッサ斬られて手脚や首が吹っ飛んでも、簡単に内臓が飛び出て血が流れて死んでもね。

過激なオリジナル作品と、数年後に出されたオブラートに包んだようなリメイク版を収録する。


脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。