【古典邦画】「あした来る人」
川島雄三監督の、1955(昭和30)年の作品「あした来る人」。Amazonプライムにて。
山村聰が演じる、老境に入る男・梶大助を中心に、娘の八千代(月丘夢路)と夫の克平(三橋達也)、梶にカジカの研究資金を要請する若い研究者・曾根二郎(三國連太郎)、梶の愛人であった、洋裁店で働く杏子(新珠三千代)…彼・彼女らがそれぞれのパートナーに対し、不満を持ち、自分のやることに理解のある彼・彼女らに惹かれるが、結婚となると二の足を踏むような男女の複雑な恋愛模様。
井上靖の原作。
恋愛は一筋縄でいかないものだが、杏子が克平を好きだと思ったら、杏子は、梶に結婚してと迫るし、八千代と曾根、お互いに惹かれあってると思ったら、曾根は克平と離婚に踏み切る八千代に「それはいけません」と説得するし、けっこう複雑な心理を描いている。
感情が昂って、思わず抱き合ってキスをしても、ハッキリと「好きだ」とか「結婚しよう」などとは言わないし。恋愛にマジメで妥協したくないのかもしれない。
基本、自分の仕事や趣味などに、賛同しろとは言わないが、ある程度、理解を示してくれる女性がイイなぁとは思うけどね。
ただ、決められた夫に付き従っていればいいという古い価値観とは違う、新時代の自分をちゃんと主張する恋愛のあり方を問うたものかもしれない。
それにしても、梶が、若い世代に理解を示してる風に描かれてはいるけど、結局、若い愛人を囲って、結婚を迫られると、「父親のような愛情だ」と嘯き、(多分)欲の捌け口である肉体だけの関係を続けようとするような悪徳ジジイに見えてしまうのだがね(笑)。
まだ若い三國さん、背が高くて、オッチョコチョイでカワイイ面もあるし、どこか山師のような匂いもするけど、なかなかモテそうな雰囲気である。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。