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「恐怖と欲望」
巨匠スタンリー・キューブリック監督のデビュー作「恐怖と欲望(Fear and Desire)」(53年)を見つけた。前にも観たような気もするけど。
初の劇場映画で、伯父さんに金を出してもらって作ったんだって。でも、キューブリックは気に入ってないらしく、長い間、封印してたらしい。それなのに、なぜ公開されたのかわからないが、キューブリックというネームバリューだけで日の目を見た小品だと思う。多分、キューブリックが生きてりゃ、恥ずかしい過去の失敗作として公開することもなかったろう。つまり、そういう映画だということだ。
敵地に墜落した軍用機に乗ってたが、無傷で助かった4人の兵士。彼らは中尉の指示の下、筏で川を渡って脱出することに。1人の軍曹が川の反対側に敵のアジトを見つけて、そこに敵の将軍らしき人物がいることを知る。軍曹は中尉に奇襲をかけることを提案するが却下される。そこに地元の女がいて見つかるが、捕まえて木に縛り付けて、若い兵士を見張りに付ける。いよいよ彼らは脱出作戦に取り組むが…。
戦時下で、いつ殺されるかもしれないという不安な状況で、人間がだんだんと狂気に陥っていく様を表してるのだと思うが、低予算のインディー映画で巨匠らしくない稚拙な感じがする。まあ、真のデビュー作だから、そんなもんだろうけど、観る方は勝手に厳しく評価するものだ。
一番の狂人となった、女を見張る若い兵士のセリフもなんかシツコくてイライラする。戦争の狂気を描くのは、後の「フルメタルジャケット」(まだ全部観てないけど)でリベンジしたのかなぁ。
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