【映画】「ベティ・ブルー 愛と激情の日々」
なんとも悲しくて衝撃的な狂乱の愛の物語だった…。
「ベティ・ブルー 愛と激情の日々(37°2 le matin/Betty Blue)」(1986・仏)。監督は、ニュー・フレンチ・シネマのジャン=ジャック・ベネックス。
いきなり激しく“まぐあう”シーンでめんくらうけど、若くて、6パックのある肉体派イケメンと、めっちゃキュートで魅力的な女だったら、ボカシ全く無しのプルプル、ブラブラの真っ裸でも美しいものだ。
30歳の配管工の青年ゾルグのところに19歳の女の子ベティが転がり込んで来る。その経緯等は語られないけど、2人は毎晩、激しくまぐあう。
ベティは、すぐに感情的になる性格で、ブチ切れて物を壊したり、窓から投げたり、気に入らないと暴力を振るったり、裸エプロンでフイと出て行ったり、ゾルグは苦労するけど、そんなベティを受け入れてる。
2人は激しく惹かれ合い、特にゾルグはベティの為に、例え違法であっても、何でもするようになる。
まあ、ベティはカワイイけど、ブラはしない(笑)、ワガママでチョーめんどくさいメンヘラなのだ。
ベティは、ゾルグがなんとなく書き溜めてた大量のノートを見つけて、「あなたは才能ある作家よ、天才よ」とわめいて、それをタイプして複数の出版社に送る。
いろいろあって、ベティに妊娠の兆候が現れる。2人は大変喜んで検査の結果を待ち望む。
しかし、友人や親戚のところを転々とする中で、ベティはだんだんとヤバくなって、奇妙な行動が目立つようになる。
検査の結果、妊娠ではなかったことがわかり、大変なショックを受けて、それがピークになる。
ベティは、「頭の中で声が聞こえるの!」と泣きじゃくる。
これは、まさに統合失調症だけど、ゾルグは抱き締めてなだめるしかすべがない…。
自分の経験からこれは痛いほどよくわかって引き込まれて泣けてきた。統失はまともに対応してもムダで、症状は酷くなるばかりだし、自分も傷付いて疲弊するものだ。そして、ショッキングで悲劇的なラストへ。
ベティは、希望のない世界を見たくないと自分の眼をえぐって精神も崩壊、廃人同様になってしまい、ゾルグは病院に忍び込んで彼女を殺すのだ。
最初から、決してハッピーエンドにはならないのはわかってたが、これは衝撃だった。
俺にとっては、とても悲しい物語だったけど、ベースにはコメディタッチな味付けがある。ゾルグが女装したり、所々のやり取りで。
激しくも狂おしい感性の前には、倫理や道徳、常識といった社会的通念は意味をなさないのだった。第三者的立場で観察すると、ベティの統失の感性も理解できるけど、最も身近な身内のことだったら、ただ戸惑うばかりでまともにならない歯痒さしかないよね。
ベティは、その感性で、ゾルグの男のプライドをくすぐり、作家としての才能を見出したわけだ。ゾルグの才能が花開くのはベティが死んだ後なんだが。つまりは、ベティは本来、ゾルグがやりたかったことを、何の躊躇もなく、後先考えずに、すぐに行動に移すことが出来たから、ゾルグの欲望を体現したから、ゾルグはベティから離れられなくなったのだと思う。ベティの期待も裏切れないし。それだけに結末の悲劇が際立つ。
大人の男が、若い女の子にモテる要因は多分、何でも受け止める深い抱擁力を持ってることと、あとはお金だと思うけど、2つとも持ってない俺はやっぱりモテないなぁ(泣)と、映画を観ながら思ったりもした(笑)。
約3時間の長丁場でも苦にならない、ステキな映画だった。
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