【古典映画】「名刀美女丸」
溝口健二監督の、1945(昭和20)年の時代劇映画「名刀美女丸」。YouTubeにて。
物資のない終戦直後の作品にしてはいろいろと揃ってるね。主演の山田五十鈴が若くてカワイイ。
苦労して作った名刀で、娘が父親の仇を討つ話。若い刀鍛冶が、恩師に贈った自分が作った刀が中折れしてしまい、恩師に恥をかかせてしまう。そのことが要因となって恩師は理不尽にも斬られてしまう。刀鍛冶は恩師の娘と共に仇を討つために名刀作りに励む。
見どころは、やはり刀鍛冶のシーン。道半ばにして死んだ職人の弟子と共に、仇を討ちたい娘のために、名刀作りに取り組むが、刃こぼれを起こしたり、途中で折れたりと、3度も失敗する。
薄暗い中で、汗まみれになって、トンカチで鋼をカン、カンと打って、火花を散らす。そして、「刀に意志を込める」と苦労して完成した名刀で、見事に仇を討つのだ。
単なる職人の卓越した技だけではない、そこに精神、魂を込めるという概念を扱った純日本風の小品であった。
あまり溝口監督らしさはない当時の娯楽作品だと思う。
ラストに山田五十鈴演じる娘が、船の上で、「この刀はあなたを守ります。いつもお持ちください」という若い刀鍛冶に、「この刀と一緒にそなたも側にいてくれ」とはにかみながら告白するシーンが微笑ましい。
脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。