「読書の技法」
著者も官僚だったけど、この本は一般向けというよりも、官僚や政治家、企業トップなど、エリート・インテリジェンス向けの読書本だな。
洋書も含めて、政治、経済、歴史、哲学などの、小難しいジャンルの本を、体系的に要約するように理解して記憶に刻む読書法(読書ノート作成も含む)を、つまり著者のやり方を伝授する内容だ。
多分、最近の多読法と同じだと思う。つまり、まず目次を見て、見出しをチェックして、ペラペラッと全体を眺めて、本に書いてある一番重要な肝になる部分を探して理解するということだ。そこを印を付けて、熟読して、ノートに書き出して記憶するのだ。
慣れてくると、サーッと文章を眼で流すだけで、だいたい重要な箇所の当たりを付けることが可能になってくる。
後はどんな本を読むかの選択と仕分けだけだ。多分、コレが一番難しいと思う。その技で、月平均300冊も可能な訳だ。
小説や漫画はリラックスするためのもので、だからといって決して無駄ではないという。本格的な読書の“動機付け”に使えるからだ。例えば、「ベルばら」はフランス革命をもっと知りたいという動機付けにはなるが、決して、正しい知識を身に付けるものではないと。
さらに、小説や漫画は、社会や人間関係の縮図として読め、人間とそれを取り巻く世界を理解することの、幅と奥行きを広げることができるという。
加えて、自分が不可能な“代理経験”の側面もある。つまりは「他人の気持ちになって考えることができる」ということだ。俺は、読書による知識習得ももちろん良いが、コレがけっこう重要なのではないかと最近は感じる。
自分以外の価値観を認めたがらず、その基準を他人にも押し付け、独り善がりの正義の追求に熱を入れるあまりに、周りに煙たがられているのにも気付かず、底の浅い判断と思い込みで、最後は思考することを止めて“気合”で乗り切ろうとする人たちが多いと思うから(笑)。
しかし、文字ばっかり頭に入れてると、脳がモジモジ君になって、浮世離れしたオカシな人間にならないのかしらん。ww