【邦画】「ジャズ大名」
岡本喜八監督の、1986(昭和61)年の作品「ジャズ大名」。
筒井康隆の小説を原作とした、一応、時代劇なのだが、岡本監督も、こんな奇を衒ったような奇想天外なコメディを撮ってたのか。
南北戦争後のアメリカから逃げ出して、舟で流れて、幕末日本の駿河湾の庵原藩に辿り着いた黒人奴隷の3人が、藩と藩主を巻き込んで、ジャズのセッションを行うという騒動である。
「MISHIMA」(1984年、ポール・シュレイダー監督)に出てた、岡本監督の娘、岡本真実が男まさりの姫役で出演している。
音楽好きの藩主(古谷一行)を筆頭に、時間を忘れて、熱狂的にセッションに興じるのは、ジャズというよりも、江戸時代末期に、大衆が仮装して囃子言葉と共に踊りまくる「ええじゃないか」騒動だね。
この作品は、評価が分かれただろう。監督の、ユーモアを外した独りよがりの失敗作とも取れるし、幕府軍と討幕軍が通り道であった城内を行き交い争う中、その下では、笛・三味線・太鼓・琴・尺八も交えた、藩を上げてのジャズ・セッションを繰り広げて、狂った喧騒から、ハチャメチャなカオス状態へと盛り上がっていくのは、岡本監督らしい表現とも取れる。
この作品にストーリーは必要ないなぁ。全てをゴチャ混ぜにした狂った熱狂さえあれば。演奏されるジャズのフレーズが耳を離れない(笑)。
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脳出血により右片麻痺の二級身体障害者となりました。なんでも書きます。よろしくお願いします。