【邦画】「吸血鬼ゴケミドロ」
松竹の特撮映画第一弾「吸血鬼ゴケミドロ」。
佐藤肇監督で、1968年の公開。
タランティーノも大好きな映画だというが、エイリアンの“ゴケミドロ”ってネーミングが、カフカのオドラデクみたいでイイ。
羽田空港から伊丹に向かう小型旅客機が、テロリストにハイジャックされる。
その直後、旅客機は謎の発光体に接近されて、見知らぬ山中に不時着する。
操縦士やスチュワーデス、乗客ら、10人が奇跡的に生き残るが、岩陰にオレンジ色に輝く円盤が着陸しており、アメーバ状の金色の宇宙生物ゴケミドロが、乗客の身体に入って、乗客らを襲う…。
特撮だけど、子供向けのように非常に稚拙でトンデモな場面も多いが、生き残った乗客らが、道徳や倫理、秩序等を捨てて、自分だけは助かりたいために欲のままに争い始める様子は、2007年のアメリカのSFホラー「ミスト」にも似てなくもない。
人間の血を常食とするゴケミドロは、人間の頭の中に入って、人間を吸血鬼にして操るのだが、額が縦にパックリと開いた様は、ちょっとイヤラシイなぁ(笑)。また、その額の割れ目からニョロニョロッと出て来るのは、まるでウンコみたい(笑)。
映画のテーマは、ゴケミドロから逃れようとエゴ丸出しで争う人間の醜さを表現しているんじゃないか。ゴケミドロを材料に。
で、最後まで生き残るのは、道徳や倫理、秩序を失わなかった操縦士とスチュワーデスだったと。
2人はなんとか町にたどり着くが、人々は皆、血を吸われて死んでいて、宇宙からはゴケミドロの円盤が地球を目がけて飛来するというラスト。
当時の世界情勢と来るべきオカルトブームを取り入れて地球滅亡を視野に入れた怪作だな。
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