【韓国映画】「金子文子と朴烈」
金子文子の衝撃的な獄中手記を読んだので、Amazonプライムで見つけた、2017年の韓国映画「金子文子と朴烈(パクヨル)」(イ・ジュニク監督)を鑑賞。
大正〜昭和初期に活躍した朴烈と金子文子、2人のアナキストの獄中・裁判闘争を中心とした伝記映画。
概ね史実の通りだと思うが、最後の金子文子の死は、官憲による虐殺とも、自殺とも取れる描き方をしている。今となっては闇の中であるが、縊死による抗議だったとも、朴烈との子供を宿していたために消されたともいわれている。
ちなみに朴烈は獄中で戦後まで生き延びて、1974年、北朝鮮でスパイ容疑で処刑されたとされる。
朴烈は、朝鮮を併合した日本への敵意から、日本において無政府主義活動に参加していたが、皇太子爆殺を目論んだ(朴烈事件)として、愛人だった金子文子と共に、関東大震災直後に逮捕された。
大逆事件の首謀者が朝鮮人であったため、裁判は欧米にも注目されて、日本政府のスケープゴートにされた2人が、裁判でパフォーマンスのように自分たちの主張を明らかにして、お互いの愛と信念を貫いたという話だ。
獄中で、時には、色気で惑わせたり、女らしく可愛く迫ったり、男真っ青にブチ切れて怒鳴りまくったり、威圧的な官憲の一枚上手をいく金子文子が痛快で気持ち良い。また演じた女優さんがキレイだし。
「日本で最も無礼な被告人になってやる」って、金子文子って腹の座った女性だったのね。
単なる政治的な映画で終わらずに、朴烈と金子文子の熱烈なロマンスが描かれているので、確かに悲劇が際立つものの、朴烈と金子文子の2人の揺るぎない愛と主張、パワーに、裁判官も弁護士も官憲も、少し同情の目を向けるようになるところはホッとするね。
金子文子が朴烈に好意を寄せるキッカケとなった朴烈の詩。
「私は犬コロでございます
空を見てほえる
月を見てほえる
しがない私は犬コロでございます
位の高い両班の股から
熱いものがこぼれ落ちて私の体を濡らせば
私は彼の足に 勢いよく熱い小便を垂れる
私は犬コロでございます」
金子文子の手記から。
「生きるとはただ動くということではない。私の意思で動いた時、それが例え、死に向かうものであろうと、それは生の否定ではない、肯定である。彼と共に闘った3年の間こそ、私は私自身を生きた」