トモヂ心の戯言~2021‐8-13
夏休みを貰った。
多分、人より少し長い夏休み。
「読むぞ」と気合たっぷりに鞄に詰めた本。
読めそうもない………
久しぶりに来た山間の温泉地。
今日は生憎の雨。
不思議とこの雨の音に心惹かれた。
「おや 雨の音はこんな音だったか」と、まるで新しい音楽に出会った時と同じような、わくわく感で、今、僕は満たされている。
車のタイヤがはじく、濡れた路面の音。
轟々と流れる川の音。
雨避けの木々の間から聞こえる、蝉の声。
雨のヴェールを被った様々な音は、僕が日々暮らすあの街では聞こえない特殊な音だった。
雨はどこでも降るけど、この雨は今だけだ。
本を読むには勿体ないと………
僕は心底思った。
随分前から、本に集中出来ていない。
今僕がいるのは、ちょっと特殊な空間。
あの街を離れてみないと分からなかった。
気づきもしなかった。
だから、この場所に本は相応しくない。
僕はそう結論づけて、栞を挟んだ。
長い休みはこんな風に休みたい。
忙しない毎日だったら、尚のこと。
こんな休みを薦めたい。
多分、魂に必要なこと。
休みってね、宛てがわれても「休み方次第」なんだよね。
贅沢と思う人もいるのは分かってる。
でもね、アナタは1人だから。
周りに人がいても1人だから。
自分は自分でケアしなきゃならない。
とても重要なことだけど、難しいこと。