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#26 相手が仕掛けてきていることに気づけない

バスケットボールで起きた気づけない①

相手が意図的にやっていることなのに、こちらはそれに気づけず、まんまと向こうの思い通りに動いてしまっていることがある。
気づかぬうちにワナにハマっている、みたいなこと。
そして、理屈がわからず何度もハマり続けること。

行動経済学などで扱われる仕掛けもあるが、もうちょっと原始的で身体的なモノについて考えてみたい。

経験上、スポーツや武道などの体を動かす活動の中での事例は分かりやすい。

例えば自分が経験していたバスケットボール。
🏀

中学時代、スクリーンプレイのことを知らず、初めて相手チームにしかけられたとき、何が何だか分からなかった。

※スクリーンプレイ=こちらがディフェンスをしているとき、マークしている相手以外のオフェンスプレイヤーが壁を作り、こちらの動きを妨害するテクニック。死角でやられることが多い。

マークしている相手にくっついて移動しようとしたら、相手オフェンスが邪魔になって進みたいように進めない。
戸惑っているうちに、フリーになったマーク相手が点数を入れてしまう。

2,3回同じセットプレイをやられて、やっと
「あ! これはチームで息を合わせてやっているのか!」
と気づけた記憶がある。

だが、分かってしまえば次から何とか対応できるようになる。


バスケットボールで起きた気づけない②

これがもう少し見た目で分かりづらいテクニックになると、気づくのが難しくなってくる。

同じくバスケットボールで、相手がボールへミートする(受け取る)予備動作をうまくやっている場合。
自然なVカットとか、ボディーコンタクトでのフェイントとか。

一生懸命ディフェンスしているつもりでも、相手はするりと抜け出して容易にパスを受け取ってしまう。
その場では「しまった! 自分のディフェンスの反応が遅かった」、などと考えるが、原因はそこではなく、こちらが気づけていない相手が仕掛けている工夫だ。

※Vカット=マークされているディフェンスをゴール方向に押し込んだあと、飛び出してフリーになる動き。

オフェンス時に、相手ディフェンスにスペースを作られる場合もうまくやられた感がある。
空いているスペースへ自分の意思で進んでいるようで、実は相手が守りやすい位置へ誘導されている。

この場合もどうも「オフェンスがうまくいかない」と考える。
自分の攻め方が悪い、と。
でも実は、そこがポイントではなく、相手のトラップがポイントだ。
トラップにハマっている時点でほぼ勝負はついている。

しかしこれらも理屈がわかると、見えない世界が見えてきて、対応できるようになる。
冷静さがないと、またまんまとやられるのだが…。
それでも目視できる行為なのでなんとかなる…。


合気道で起きる気づけない

合気道でも同じようなことがあるが、これはもっと分かりづらい。
組み合っていない第三者として外から見ていても、どうやっているのか分からないことがある。

例えば、合気上げという基本の技。
これが上手い人とそうでない人とでは、結果が全く違う。

参考に分かりやすそうな解説動画を貼っておくが、ここで説明されている以外の微妙な手の操作などもあると聞く。
かけられている側(持ち上げられる側)は、なんでそう簡単にやられるのか分からない。
熟練の身体操作のほか、コツもあるようだ。

かける側は意識的にコツをこっそりやっている。
というか、コツが体に染み付いていて意識的ですらないかもしれない。
結果、かけられる側にはバレず、簡単に思い通りのゴールに辿り着く。

これ以外にも合気道は、受け手が気づけない身体操作が多い。
自分が有利になるようそっと軸をずらされていたり。
脱力することで、受け手にも力が入らなくなり、崩されたり。

動画解説などを見るからやっと頭ではなんとなく理解できるが、それがなかったら気づかないことばかりだ。
(理解できても、できないことばかりだが…)

ただこんな微妙な合気道でも、やれるようになり、かける側の向こう岸にいけたら、相手の微妙な身体操作に気づけるようになるのだと思う。

これまで書いてきたことでいえるのは、相手だけが理解している所作は、自分にとっては存在すらしていない、ということ。
自分が気づいていないが、実は他の人が使っているコツって結構ありそうだ。

分かれば見える、できるようになれば見える世界がある。
人は同じ世界を見ていないんだと思う。

そんな視点で日常生活を観察してみると面白そう。

取り急ぎ、上記のバスケットボールのスペースへの誘導で触れた、「自分が引いたらそこに人は入ってきてくれる」というコツは、応用がしやすそうだ。
そこからどんな世界が見えるのか、試してみたくなった。

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tomohonote
最後まで読んでいただいてありがとうございます。