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CS業務のAI活用リアル体験記:2か月で見えた成果と課題

前回、問い合わせ業務効率化のためのAI導入と業務フロー改善について記事を書いてから2か月が経ちました。

今回は、実際の運用から得られた具体的な成果と課題、そして今後の展望についてまとめてみました。
AI導入を検討されている方々に、少しでも参考になれば幸いです!

※本記事は、会話型AI構築プラットフォームmiiboを開発する株式会社miiboの提供です


1.具体的な成果

1.1 継続的な情報更新

前回記事でお伝えした、AI導入に辺り再設計した業務フローがこちらです。

設計したフロー

結果、お問い合わせAIの運用は、当初の計画通り安定して進んでいます。
この2か月間での情報更新数はなんと132件!(※2024/8/20現在)
かなりのスピードで最新の情報への更新が進んでいます。

更新リストの実際の画面

社内でも問い合わせAIの重要性の認識は強く、特に問題なく業務の中に落とし込まれたのは一つ大きな成果です。

1.2 お問い合わせAIの会話数

では、お問い合わせAIを導入した効果はどうなのか。
お問い合わせAIとの会話数を確認すると、以前のAIと比較して、週平均約200件→約400件と2倍に増加していました!一方で、問い合わせフォーム経由の件数には大きな変化がありません。

これは、AIが多くの問い合わせを効果的に解決していることを示唆しており、ユーザー数が増加している中でも、効率的なカスタマーサポート業務が実現されてきています。

2. 副次的な効果

2.1 問い合わせポイントの明確化

AIの導入により、ユーザーの方々の行動にも変化が見られました。
ユーザーはまずAIに質問し、解決しない場合に問い合わせるため、人が対応する問い合わせ内容がより具体的になりました。

このように、問い合わせAIで回答できなかったもののみ質問が来る

その結果、負荷の軽減や、複雑で高度な問い合わせへのリソース集中に繋がっており、カスタマーサポート全体の生産性が向上しています。これによりユーザー満足度の改善にも寄与していると考えられます。

2.2 統合AI化

当初は顧客サポート用に構築されたAIですが、そのデータの質の高さから、同じデータを活用するため社内活用AIなど他のAIも集約することになりました。その結果、問い合わせAIが今ではあらゆる役割を持つ統合AIになりつつあるのも面白い効果でした。

2.3 製品やLPへの統合

AIの有用性が短期間で認められ、miiboプロダクトの右下にAIをすぐに呼び出せるボタンが設置されました。

miiboツール内ですぐ問い合わせAIに質問できるように

また、サービスLPにおいても、詳細情報を知りたい場合にAIに誘導するリンクの追加や、ページ右下からAIを呼び出せるボタンを設置するなどAIへの導線を強めることで、ユーザーがいつでも簡単にAIのサポートを受けられるようになりました。

LP内からも問い合わせAIへの導線を設置

2.4 社内業務への活用

社内でも「分からないことがあればまず問い合わせAIに確認する」という習慣が広まりつつあります。特に新入社員のオンボーディングにおいて、効率化が見られました。

3. セキュリティとリスク管理

AIを対外向けに活用する中で不安なことの1つにセキュリティやリスク管理があります。

前回の記事の通り、AIが回答できなかった場合、その会話内容を自動的にSlackに通知する運用を取っています。流れてくる会話ログを見ていると、プロンプトインジェクションを試みている質問や、時には不適切な会話も見られます。
しかしAIが適切に回答できていることを確認できているため、今のところは大きな問題は見られず安心して継続できる状況です。

4. 現在の課題と今後の展望

4.1 人の確認と自動化のバランス

データの質が最重要なため、現状は目検での情報更新作業が依然として重要な役割を果たしています。担当者に依存するうえに負荷も大きくなっています。
この2か月間で運用の安定性は確認できたため、今後は段階的に自動化を試していく必要性が見えています。

4.2ハルシネーション対策

プロンプトをきつめにしているため頻度は高くないものの、AIのハルシネーション(誤った情報を勝手に生成する)への対策が大きな課題です。
特に、機能の設置場所など情報が不完全な場合に勝手に補って回答をしてしまう傾向が見られます。また、Yesを何度か回答したあと分からない質問が来た場合にYesとハルシネーションを起こすケースもあり、これらへの対応が必要となっています。

この2か月間は回答できなかった内容を補うことに注力していたため、今後は「AI分析機能」を活用しながらハルシネーション対策も検討していく必要があります。

AI分析機能を活用したハルシネーション確認
弊社プレスリリース(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000037.000118546.html)より

(余談)
ログを見ていて興味深かったのは、AIのハルシネーションした内容が、実際のユーザーの感覚に近い場合があることでした。
例えば、機能の配置や不足している情報について、AIが勝手に補完した内容が、ユーザーにとっては直感的に理解しやすいケースがありました。この予想外の発見を、UIや機能改善に取り込めないかも検討していきたいです。

5. 終わりに

この2か月間で、会話数の増加や情報更新の継続的な実施など、具体的な成果が見られています。同時に、社内業務の効率化やデータの多目的利用といった予想外の効果も現れました。
一方で、ハルシネーション対策や人間による確認と自動化のバランスなど、課題も明確になりました。

今後も、AIと人間のそれぞれの長所を活かしながら、よりよい顧客サポートの実現に向けて取り組んでいきたいと思います。

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