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センス・オブ・スケール展
たまたま立ち寄った横須賀美術館で行われていた『縮小/拡大する美術 センス・オブ・スケール展』
Miniaturized / Magnified Artということで、
様々なものの「スケール」をハックしてみると「見立て」の世界がその先に広がっている
というコンセプトで、様々なアーティストがつくったインスタレーションが展示されていました。
展覧会は中谷宇吉郎の雪の写真と、国友一貫斎の太陽と月のスケッチから始まり、「身の回りのミクロの世界」と「遠い宇宙のマクロの世界」を覗き見る方法として顕微鏡や望遠鏡を使っていたことから始まります。
つまり、「人間の認識はスケールで変化する」ということがメッセージトッして提案されます。そしてそこから、スケールのハックが始まります。
思わずおおっ!!となった展示も多く、感動が多かったのですが、その中でも最も印象的だったものを一つご紹介します。
異なるスケールを組み合わせる
田中達也さんの作品は
「異なるスケールのものを融合させ、見立てを仕立てる」
作品群が展示されていました。その中でも印象に残ったのは冒頭に写真を載せた「これぞ"エンター"テイメント」という作品でした。
キーボードのエンターキーの上に積まれたエンターキーがあたかも「テレビ」のように見えると共に、その周りにいるミニチュアの人達が、まさにその「エンターテイメント」の世界の中に「エンター」してしまっている図に見えるこのミニチュア。
ダジャレがやや多めの作品が多いのですが、その緻密さとギャグセンスにおおおっ!!と引き込まれてゆきました。
他にも、ポスターに掲載されている作品は「しばらくここで待ってクリップ」ということで、クリップを人が座る待合室の椅子に見立てて仕立て上げられたミニチュアに。
見立ての方程式
田中達也さんの展示の部屋には、
「スケールを変換するといろいろな見立てが見えるよ」
という田中さんの遊び心が現れている壁の展示がありました。
ミニチュアの縮尺を小さくすれば、日常的な文房具は身の回りの家具ほどのサイズとなって、私達の縮尺に置き換えて大きなものとして見立てられるのに対して、
ミニチュアの縮尺を大きくすれば、日常的な文房具は身の回りの道具ほどのサイズとなって、小さなものとして見立てられます。
つまり、目の前にあるものに、それとは異なるスケールのものをかけ合わせると、新しい世界が広がるというものです。勝手に方程式にすると
見立て = そのままのスケール × ハックされたスケール
ということで、そのままのスケールにハックされたスケールを組み合わせることで起こるのではないか?なんてことを考えました。
例えば、三角形になったおにぎりを「富士山」と見立てて、のりを上の部分だけつける。
目の前にあるおにぎりの形が「三角形」であることと、「富士山」の三角形がつながるのは、「富士山」のスケールを「手のひらサイズ」にハックすることで生まれます。
それによって「富士山おにぎり」が生まれる、といった具合です。
なるほど、見立てはスケールの問題だったのか、ということに気付かされた1日でした。
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