青
ブルーな気分だ。と、意地悪い小さな声が聞こえた。
小さな苛立ちを覚えながら階段を昇る、
下りも上りもへったくれもなく、黒い影たちが交差する。
影たちは皆ブルーな顔に見える、そんなことも目に入らぬように
一段飛ばしで膝を持ち上げる。
もうすでに遅れている電車を待ちながら、向かいのホームの影たちを見る。
やはりブルーだ。
はあ、と僕の口から生温い諦めが落ちた。
それを啄ばみに来たハトが、
僕の横にぶっきらぼうに並んだ影に驚き空へと、
それを追って、少し軽くなった頭を持ち上げる。
ブルーではない、これは青だ、
宇宙飛行士は、地球は青かったと言った。
三冬尽く朝の、僕が見上げた宇宙は青かった、清々しい青だった。
そんな青に、僕はよく救われる。
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