【先週の不満ビッグデータ】(~2024/6/16)①ドクターイエロー、②扇風機
こんにちは。Insight Tech CEO 伊藤です。「声が届く世の中を創る」の実現に向けて不満買取センターを運営しています。
このnoteでの連載として「先週の不満ビッグデータ」をお届けしています。
この企画は毎週月曜~木曜日に放送されているJ-WAVE TOKYO MORINING RADIOの毎週水曜日のコーナー「データから導く<Better Life>」と連動しております。毎週ナビゲータの別所哲也さんに先週の生活者不満からみえる「Better Life」をお届け頂いています。是非ラジオもお聴きください。
先週の生活者不満(~2024/6/16)
Insight Techが運営する不満買取センターに寄せられる不満の声。注目するのは「前の週と比較して増加が目立ったキーワード」です。そのキーワードの出現件数を反映したワードクラウド(下図)をみると「先週はこんな不満が目立ったみたい」という理解ができます。
先週は暑い日々が続いたこともあり、「エアコン」「汗」「扇風機」「クーラー」「熱中症」など暑さ対策に関連する不満が増加しました。
そのようななか、今週は①「ドクターイエロー」、②「扇風機」に注目します。これらも先週増加が目立った意見です。具体的にどのような意見なのか、早速見ていきましょう。
①ドクターイエロー
JR東海とJR西日本が13日、東海道・山陽新幹線の線路を点検する専用車両「ドクターイエロー」の運行を終了すると発表しました。現在両社で1編成ずつ保有していますが、老朽化などを理由に引退が決められたとのことです。JR東海は2025年1月、JR西は27年以降をめどに走行を終えます。
引退後は最新型車両「N700S」に検査のための専用装置をつけた車両を走らせ、安全を管理するとのことです。
このニュースを踏まえ、生活者からは「ドクターイエロー」に言及する不満が数多く寄せられました。
まず目立ったのは引退を驚くとともに、悲しむ声です。「子供たちのヒーロー」「お母さんたちも大好き」とのことで、鉄道ファンだけでなく多くの家族の思い出に刻まれたドクターイエローの引退を惜しむ生活者が多いことに驚かされます。
次に目立ったのは「ドクターイエロー=幸運を呼ぶ」との存在だったことに関連する不満です。「ドクターイエローを見て幸せになりたい」「見られると良いことがありそうで嬉しかった」「ドクターイエローに変わる幸せを生み出すものを」との声です。
生活者の不満の声をみると、「ドクターイエローが引退すること」自体を嘆く声よりも、「幸せを呼ぶゲン担ぎ」の対象が無くなってしまうことを寂しく思う声の方が多く、ドクターイエローの存在価値が「幸せになりたい」「偶然の発見を喜びたい」という期待によって構成されていることが分かります。
ドクターイエローが担ってきた「機能」自体は最新型車両「N700S」に引き継がれることとなりますが、「幸せになりたい」「偶然の発見を喜びたい」という期待を受け継ぐ仕掛けや遊び心が求められていると言えそうです。
ドクターイエローに限らず、生活者は企業やブランドに対して、機能的な期待だけでなく、情緒的な期待を持つものです。勿論機能的な期待に応えることが重要であることは言うまでもありませんが、「こうありたい」あるいは「こうあってほしい」という情緒的価値を満たすマーケティングがロイヤルティを高めるカギと言えそうです。
企業やブランドに対する「情緒的価値」。多くの企業が取り組む「パーパス」(企業の存在価値を策定して発信しビジネスを定義する取り組み)の原点の1つになるかもしれません。
②扇風機
いよいよ夏本番が近くなり、毎週、「夏の風物詩」ともいえる不満がトレンドワードになっています。先週は「扇風機」への不満が増加しました。扇風機は毎年この時期になると増加する不満です。今年はどんな「扇風機不満」が寄せられたのか、見ていきましょう。
まず目立ったのは、昨年話題となった「扇風機の音」への不満です。今年も継続して不満が寄せられています。
具体的には、「リビングで扇風機を付けるとテレビの音が聞こえなくなる」との不満が寄せられています。
扇風機をONにするシーンはクーラーをつけておらず窓を開けるあるいは網戸にしているケースが多く、ご近所への音漏れが心配でテレビの音を大きくしにくいシーンと言えます。このようななかで扇風機をONにするとテレビの音量を大きくせざるを得ない、との不満です。
加えて「扇風機の音」に関しては、今年は特に「卓上型扇風機」の音の不満が多く寄せられました。
USB接続などで利用できる小型扇風機が普及するなかで会社のデスクで卓上型扇風機が使用され、自分が暑いとおもうときにONにするシーンが定着しているようです。
一方で「卓上型扇風機の音がうるさい」ため、周囲や同僚に迷惑をかけていないか心配、思うように使いにくい、との不満が発生しているようです。
「静かでオフィスでも周囲に迷惑を掛けない卓上型扇風機」が不満を価値に変える商品アイデアとして期待できそうです。
そしてもう1つ。2024年の「扇風機不満」を象徴するワードが見つかりました。「乾燥」です。「扇風機を使うと肌が乾燥する」「外出先でも携帯用扇風機を使うが目が乾燥してしまう」など、扇風機利用により肌や目、喉が乾燥してしまうことを憂う声です。
今年も猛暑が見込まれる中で、節電しながら賢く涼しさを実感できるアイテムとして「扇風機」への期待が高まるなかで、肌や目・喉の「乾燥」という派生的なペインが発生しているようです。
「涼しく快適に過ごしたい」と「乾燥を避け潤いを保つ」を同時に実現できる商品やサービスへの期待が高まっています。扇風機だけでは解決できないペインでもあり、例えば家電メーカーと化粧品メーカーがコラボレーションすることで解決できれば新たなビジネスチャンスを生み出せるかもしれません。
シーンを起点に派生的に発生するペインもまとめて解決するような「パッケージアプローチ」が有効な事例と言えそうです。
不満をいつでも分析「不満ファインダー」
不満ファインダーは、不満買取センターに寄せられる不満ビッグデータを自由に検索&解析できる唯一のサービスです。あらゆる業務のユーザーファースト化を実現します。ご関心ありましたらお声がけください。
そして宜しければマガジン登録もお願いします!
Insight Tech 伊藤
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?