「布団のサービス化」に商機あり?(先週の生活者不満:~2022/2/6)
こんにちは。Insight Tech CEO 伊藤です。「声が届く世の中を創る」の実現に向けて不満買取センターを運営しています。
このnoteでの連載として「先週の生活者不満」をお届けしています。
この企画は毎週月曜~木曜日に放送されているJ-WAVE TOKYO MORINING RADIOの毎週木曜日のコーナー「データから導く<Better Life>」と連動しております。毎週ナビゲータの別所哲也さんに先週の生活者不満からみえる「Better Life」をお届け頂いています。是非ラジオもお聴きくださいね。
先週の生活者不満(~2022/2/6)
注目するのは「前の週と比較して増加が目立ったキーワード」。そのキーワードの出現件数を反映したワードクラウド(下図)をみると「先週はこんな不満が目立ったみたい」という理解ができます。
いよいよ北京オリンピックが始まりました。これを受け、「オリンピック」関連の不満やもやもやが多く寄せられました。
また、アベノマスクの配送料を国が負担することが発表されたことで、改めて「アベノマスク」に関する不満が急増。
そして、2月3日の節分の日に合わせ、「恵方巻き」についての不満が急増しました。恵方巻きが廃棄されていることを憂う声が目立ちました。
このような中で今週は①「産地偽装」、②30代男性で増加した「布団」、③30代女性で増加した「チャット」に注目します。
産地偽装、せっかく応援してきたのに
2月1日、農林水産省は「熊本県産と表示していたアサリの大半について、外国産が混入していた可能性が高い」と発表しました。全国の小売店を調査したところ、実際の漁獲量を大幅に上回る量が熊本県産として販売されていたこともわかりました。
これに対して生活者からは、純粋な「不満」に加え、どの情報を信じてよいのか分からない「不安」の声が寄せられました。例えば・・・
のような不満です。
「そもそもなぜ間違った情報が表示できてしまうのか」、「表示する産地についてのルールが曖昧なのではないか」といった声です。生活者からすると日々口にするものに関わる情報が信頼できないことは大きな不安をもたらします。食の安全が重視される中で、あさり以外の商品に対しても「大丈夫だろうか」という不安が拡がっています。
加えて、地域や産業を応援する目的で、食品を「産地で選ぶ」生活者からは不安を超えて憤りの声が聞かれました。
「応援していたのに裏切られた」と感じる生活者の声からは、怒りだけでなく、「何を信用していいのか分からない」という不信感も滲み出ています。これが今後の消費活動に影響をもたらすことは明らかで、日々の生活での「選択」において「情報の信頼性」がいかに重要かを気づかせてくれます。
「布団のサービス化」に商機あり?
寒い毎日が続いていますね。「今年はいつもの冬より寒い」と感じる人が多いようです。実際、各地で例年には見られない積雪が確認されています。
そんな寒さの影響もあって30代男性の不満投稿では「布団」が増加しました(画像左端中央)。どんな「布団」不満があるのか見ていきましょう。
やはり「寒すぎて布団から出られない」という声が目立ちました。布団から出られずに無駄な時間が流れてしまった、と嘆くつぶやきのような声ですね。皆さんもそんな経験がおありではないでしょうか?
そんな布団に対して付加価値を求める声も。具体的には・・・
といった声。ベットに入る前に暖かくしてくれる布団、暖かいけど通気性もいい布団、など、眠る時間をストレスフリーで過ごしたい、というわがままともいえるほどのニーズがまだまだ存在するようです。
それだけでなく、以下のような声も。
自分に合った枕に出会えない人を「枕難民」と呼ぶことがありますが、枕だけでなく「布団難民」と呼べる人々が「自分に合った布団を提案して欲しい」と感じているようです。AIが自分の体形やライフスタイルに合った布団をレコメンドしてくれる、なんていうサービスが求められているのかもしれません。
また、布団メーカーにとっては「布団のメンテナンス」をサービス化することで、購入してもらった後のユーザーとつながり続けられる仕組みづくりにつながり、ファンづくりにつながるかもしれません。
チャットでの問い合わせはとても便利だけど・・
30代女性のトレンドワードを見ると、「チャット」というキーワードが確認できます(画像左下)。どのような声が寄せられているのかを見ていきましょう。
企業の問い合わせ窓口が「有人チャット(AIによるチャットではなく、企業担当者がチャット形式でやりとりする形式)」となっており、これへの不満が中心となっているようです。具体的には。。
といった声が中心で、主に「繋がりにくさ」に対する不満となっています。
これに加え、繋がった後のコミュニケーションのやりとりについても具体的な改善要望が寄せられています。
このように、有人チャットの便利さを評価しつつも、「チャットが切断されるタイミング」、「追加で聞きたいことが出た時の対処」、「返信があったことの通知」など、有人チャットの便利さをより高めるための「きめ細やかさ」への要望が寄せられています。
また、以下のように、ニックネームのような名前であることの抵抗感も聞かれました。
これをみると、「聞きたいことをすばやく効率的に聞けて、文字にすることで冷静に整理したうえで問い合わせができる」という有人チャットによる問い合わせに高い期待が寄せられている考えられます。
だからこそ、「人対人の口頭でのやりとり」の【代替】ではなく、これを上回る利便性やきめ細やかさが求められており、企業とユーザーが繋がる手段として【アップデート】して欲しいとの欲求がうかがえます。
言い換えれば、デジタルを活用した顧客対応が生活者に好意的に受け入れられるようになっていると言えます。チャット活用などのデジタルシフトをコスト削減ではなく、CX向上に繋げられるか。
これがDXの効果を高めるカギになりそうです。