コーディネーションの7つの能力
今回は剣道に絡めて
コーディネーションの7つの能力について
説明したいと思います
【コーディネーション能力】は
もともと1970年代に
旧東ドイツのスポーツ運動学者が
考え出した理論で
運動神経を7つの能力に分類したものです
スポーツや運動を行っている時は
これらの能力が
複雑に組み合わさって動作を形成します
そして
【コーディネーショントレーニング】はそれら
運動神経を向上させるためのトレーニングを
体系化したものです
7つの能力
動きを形成する能力は以下の通りです
①リズム能力:イメージ通りに身体を動かす能力
リズム能力が発達することで上手に動作のマネができたり
自分のイメージをスムーズに体現することが
できるようになります
それから、技を出す適切なタイミングなどを
見極める能力にもつながります
剣道において動作のマネを上手にできることや
技を出すべきタイミングをはかる感覚は
とても大切な能力と言えます
②連結能力:身体の様々な部分を同時に思い通りに動かすことができる
または2つ以上のことを同時にする能力
剣道の動きは、上肢と下肢を適切に連結させることで
質の高い動作が可能になります
特に初心者と熟練者では、よくこの連結動作に
差が見られます
剣道の技術が上達していくには、この連結能力も
必須の能力と言えるでしょう
③バランス能力:身体の体制が崩れてもプレーを続ける能力
どんな運動を行う上でも
バランス能力は必要になります
剣道においては、一つの技だけでなく
複合的な技を展開していく場合や
不利とみられる態勢から技を繰り出す技術などが
競技力の差として見れる部分もあるでしょう
また、バランス能力が高くなることで
美しい姿勢の維持につながったり
ケガの予防にもつながるので
ぜひ高めたい能力であると言えます
④変換能力:状況に応じて身体の動きを切り換える能力
サッカーやハンドボールなどで、ドリブルで相手を抜く場合の
技術の一つにフェイント動作があります
流動的な試合の中では、いかに相手をうまくさばいて
得点につなげるかということが
勝敗に大きく関わります
剣道においても、「相手がどのように防御するのか」
「相手が先に技を仕掛けてきた場合」
「自分が狙っていた部分と違う所に隙が生まれた場合」
など流動的に試合が進む中で
その場にあった最良の判断を瞬時に行うために
変換能力は非常に重要な能力と言えます
⑤反応能力:合図などに正確に素早く対処できる能力
剣道は一瞬で勝敗が決する競技であるため
反応が100分の1秒遅れるだけでも
結果が変わることがあります
常に相手の動きを予測し、準備をし
相手の動きに対して素早く対応するためにも
反応能力は高める必要があります
⑥識別能力:道具や用具を適切な力で正確に操作できる能力
剣道は防具を身につけて
さらに竹刀を介して行う競技であるため
「正確な竹刀操作」 = 「技術が高い」
とも言い換えることができます
「冴えのある打ち」「力強い技」を習得するためにも
識別能力は必要になってきます
⑦定位能力:自分と相手や物との位置関係や距離感覚を正確につかむ能力
剣道は竹刀を介して技を出すので
相手との正確な距離を把握することは
とても難しいです
さらに相手との距離を探りながら
試合が展開されるので
距離感覚を研ぎ澄ますためにも
定位能力は強化したい能力であると言えます
また、竹刀にも「物打ち」という部分があり、そこで
相手の打突部位を打たなけれな有効打突とはならない
ルールがあるので
相手との距離の感覚をつかむのは非常に大切です
これらの能力は
一つだけ優れておけばいいというものではなく
全ての動作で
いくつかの能力が複合的に絡み合っています
剣道の動作別に見たら
仕掛け技
相手との適切な距離をはかり、技を出すタイミングを見極める定位能力、状況に合った技を選択し、素早く技を出すことを可能にするリズム、反応、バランス能力
応じ技
相手の技に対して、二段打ちや三段打ちを素早くおこなうことを可能にする、リズム、変換、反応、識別能力
防御
相手の攻撃に対して適切な距離を取り、打たれるリスクを減らすことを可能にする、連結、反応、変換、定位能力
素振り
イメージを体現するリズム能力、身体の動きと竹刀の動作をスムーズに繋げる、連結、識別能力
足さばき
イメージを体現するリズム能力、素早い足さばきを可能にするバランス能力
このように一つの動作でも必要となる
能力はたくさんあるのです
今読んでくださっているあなたも
次の稽古から少しだけでも
こういったことを考えて、意識すると
今よりもさらに上達するかもしれませんね!
あなたの稽古の質が高まりますように
次回はオランダの子供達のレッスンした様子を
報告したいと思います。