鞆 肥後屋の一日 (午前)
出勤後、一番に表の戸を開け、朝の空気を入れます。
近所の方に挨拶をしながら、戸を開けて新鮮な空気を入れる行為は、
新しい一日の始まりを教えてくれる合図のようで、とても好きな時間です。
次に、割烹着を身に着け試食の準備。
お客様には三種類の鯛味噌と生海苔佃煮を試食していただいております。
お待たせすることがないよう、ある程度、事前に準備をしておきます。
ちなみに、試食と共にお出ししているお茶は、
鞆の山川園茶舗さんで仕入れています。
こう思うと、色々な物が鞆で用意できるため、本当に有難いです。
次に、掃除に取り掛かります。
古民家は毎日掃除をしても埃が落ちてくるため、大事な仕事です。
畳や板場を掃き、雑巾がけを行います。
基本は一人で作業しているため、店舗裏にある部屋の掃除に移る頃には、少し息が切れます…掃除は良い運動にもなりますね。
動いていると、少し汗をかく時季になってきました。
その後、土間の掃き掃除や、棚や椅子の拭き掃除を。
朝の淡い光を取り入れながらの掃除は、気持ちがすっきりします。
最後は神棚のお水を変え、一日の平穏無事をお願いします。
そして、暖簾を出します。
潮風に当たり、暖簾の色も随分と変わってしまいました。
毎回、暖簾を出す時は身が引き締まります。
お店を再出発させる為に、立ち上げられた方々は、どんな思いで暖簾や内装を考えたのだろうかと、暖簾を出しながら思いを巡らせることもしばしば。
そんなことを考える度に、このお店を大切に残していきたいという気持ちが生じます。
次に、お店を開店しつつ、窓拭きを行います。
当店は硝子窓が多い為、この作業も時間がかかりますが、綺麗になっていく窓を見ると、やりがいがあります。
近所のお店の方がよく「あんたの所が綺麗に拭いていると、うちの窓の汚れが目立つ」と笑いながら声をかけてくれます。
こちらは大正硝子。
力を入れて拭くと割れてしまいそうなので、慎重に拭いていきます。
一通り掃除を終えたら、お茶を入れて一息。
その後、郵便物の確認や事務作業などを行っていると、あっという間にお昼がきます。
発送の商品がある場合は、午後の集荷に間に合うよう、この時間から作業にとりかかります。
小鳥の囀りや、とんびの鳴き声、ご近所様の話声などを聞きながら作業を行っていると、自然と満たされた気分になります。
とても贅沢な環境だなと。
そして、お昼の時間。
お客様には大変申し訳ないのですが、貼り紙をして、お昼休憩へ。
お客様の中には、「お昼の時間でないと来れない」という場合もあるかと思います。
事前にお電話いただけると、待機しておりますので、遠慮なくご連絡ください。
お店ですので「営業時間は常に空いているのが普通ではないか」と思われる方もいて当然かと思います。
しかし当店は、一人体制で仕事を行っている為、
やはりスタッフの休憩時間はとても大事であると考えます。
この緩やかな営業が行えるのも、鞆の良さの一つであるのと同時に、会社の理解があるからこそです。本当に有難いです。
長くなってしまいましたので、続きはまた書きます。
目高へのご飯も忘れてはいけない日課ですね。
鞆 肥後屋