プリンス:Forever In My Lifeを半分まで読んで

TOYOKAN BOOKSの『プリンス:Forever In My Life』。縁あって担当の方より献本頂き、今プリンス・バイブルKIDさんの星海社『オフィシャルディスク・コンプリート・ガイド』を読みつつ(これがまたひとつのアルバムを読み通すに程良い文量なので、気軽にストップ&ゴー出来るのだ)528ページの本と同時進行させている。楽しい。楽しいが自分もシンコー・ミュージック『プリンス:ゴールドエクスペリエンスの時代』という本を同時期に書いたので(結局22年6月にプリンス関連の本が3冊刊行されることとなった)、その時期の事柄が僕の方に間違いがないか、独りよがりで暴走してないか(それは間違いなくしている)、チェックしつつ読んでいるのでとてもプレッシャーだ。実際痛風の治りも良くない。両方ともまだ全てを読み切れていないが、それでも思わずNoteに書いてしまったのには理由がある。

ネタバレになってしまうため内容には触れずに書くが『プリンス:Forever In My Life』の中で、著者のニール・カーレンがプリンスよりある依頼を受けている。その説明の際にプリンスは、楽器が弾けず、歌えず、踊れず、ただサンプリングのみで才能が無くてもチャートのトップに行ける今の音楽業界を嘆き、自分の音楽がそのために売れない、だからプリンスは死んだ、改名だ、と言っている内容が書かれているのだ。『プリンス:ゴールドエクスペリエンスの時代』において「Pope」という曲でワーナーとヒップホップ勢への対抗を歌にしていることは書いたし、80年代終わり辺りからヒップホップ・マナーな曲を当時お付き合いしていただろうロビン・パワーらを起用、ヒップホップをプリンス自身が吸収し勉強し(女性から学ぶというのがプリンスらしい所)、カルメン・エレクトラやNPGの『Gold Niggga』においてはプリンス流ヒップホップ、つまりバンド・サウンドとラップの融合(そしてクレジットしたりされなかったりするサンプリングと培ってきたエロイズム)で当時の音楽業界への挑戦状的アルバムを作り上げたことも仄めかしつつも触れてはいる。ただ改名に関しては僕の中でプリンスとワーナーの対立、それだけが占有されていて、ヒップホップの存在、そのために自分の曲がヒットチャートを席巻できない、売れない、ということ、第三勢力、三国志の様相を呈していたとは、失念していた。そしてその改名の話も『ラブシンボル』完成辺り、直後にされている可能性もありそうなのだ。でもこのことに執筆中に気が付かなくて僕にとっては幸せだったのかもしれない。もしそうなると『ラブシンボル』をやはり取り上げざるを得なく、『プリンス:ゴールドエクスペリエンスの時代』が前編、後編と膨れ上がり、ならばいよいよスーパー・デラックス・エディションの登場を待ってから、ということになって手も足も出ない状況になっていただろうからだ。


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