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地域の名人さん

こんにちは。言語聴覚士で子どもの発達インストラクターのタグチトモコです。

娘の小学校では3年生になると「地域の名人さん」と題して、調べ学習をします。
インタビューをしてその内容を
・自分なりまとめること
・地域にどんな大人がいるかを知り、自分の住む地域への愛着を育てていく

そんな授業のようです。

中2の息子が小3の時もあったので、ずっと続いている授業なんだと思います。(当時は凧を作る名人さんとかいたような…)

夏休みの宿題でそれぞれインタビューしてみたい名人さんを書いて提出

→全3年生がインタビューしてみたい名人さんを書いたものから、先生方が目を通し、5人の名人さんを決めて、取材依頼。

→OKだったら学校に名人さんが来て取材を受けるという流れ。
(今年はコロナ禍ということで、子どもたちからの質問をまとめたお手紙が来てそれに回答する方式。)

娘は夏休みに言語聴覚士である私を名人さんとしてピックアップし、なんと5人の名人さんの一人として選んでいただきました。(ちなみに娘は実際の取材では違う名人さんを取材しましたw)



言語聴覚士と言うレアな仕事

現在言語聴覚士の資格を持っている人は、2021年3月には約3万6千人
理学療法士さんは19万2千人と比べてるとっても少ない。

そして言語聴覚士の多くは「おとな」を対象にしている方が多く、私のように「こども」を専門としている言語聴覚士さんは4000人ほど。

とってもレア。

そこら辺を歩いていてもあわないような職業をピックアップしてくださった先生には感謝しかない。

そして各クラス数名ずつ「ことば名人」の私に取材したい子たちがいてくれて取材を受けることになりました。

ちなみに私以外の名人さんは
・文房具屋さん
・たこ焼き屋さん
・チョコレート屋さん
・習字の先生

私のInstagramのストーリーでこのことをあげたら
「どんな質問が来てお返事したのか知りたい」というお声をいただいたので
ここでご紹介します。
※小3の子たちに分かるように書かないといけなかったので、省いた部分もたくさんあります。



小学校3年生からことば名人への質問


①どうしてこの仕事をしようと思ったのですか?


人の役に立つ仕事で、他の人があまりやっていない「レア」なお仕事をしてみたかったからです。


②いつからこのお仕事をされていますか?

大学を卒業してからこのお仕事をしています。
大学では言語聴覚士になるための勉強をしました。


③どのような子供に対して、どのようなトレーニングをされていますか?

①お話をするのがむずかしい子
 ことばが言えるように絵カードなどを使って練習したり、ことばを言うことがむずかしい子には言葉以外のこと(写真や絵カード、身振りや物)を使って気持ちが伝えられるように練習します。
②ことばを聞いて理解するのがむずかしい子
 物の名前や動詞や文などが聞いて分かるようになるようにカードなどを使って練習します。
③正しく発音をするのがむずかしい子
 「さかな」が「しゃかな」のような発音になってしまう子に、ベロの位置や息の出し方を一緒に練習します。
④文字を読んだり、計算をするのがむずかしい子
 何度も字を書いて練習しても漢字を書くことがむずかしかったり、計算や九九などが苦手な子にその子にあったやり方を一緒に考えながら教えていきます。

 


 

④むずかしいトレーニングはどんなものですか?

むずかしいかどうかはそれぞれのお子さんによって違うので「これがむずかしい」とは言えませんが

 発音を例に出すと
小さい子は「マンマ」や「ブーブ」のようなことばから言い始める子が多いです。「ま」や「ぶ」はくちびるを閉じて発音する音です。これは簡単な音の種類になります。

 だんだん大きくなってくると「さしすせそ」や「らりるれろ」のような音も言えるようになります。これは口やベロが動きが難しい音です。こういう音のトレーニングはむずかしい音練習です。

⑤大変なことや苦労することはありますか?

ことばが話せない子やコミュニケーションが苦手な子は、自分の本当の気持ちがうまく伝えられずに泣いたり怒ったり、わざと悪いことをして自分の気持ちを伝えようとすることがあります。その子たちの「本当の気持ち」を探すこと、「本当の気持ち」を伝えられるようになるためにはどうしたらいいかはたくさん悩んでたくさん考えます。


 

⑥うれしいときややりがいを感じる時はどんなところですか?

子どもたちが「できなかったことができる」ようになってうれしい顔をしたり、子どもたちが「困っていることが少しでも減る」お手伝いができたときはやりがいを感じます。

 

また子どもたちのお父さんやお母さんはとても悩みながら子育てをされています。子育ての悩みをお聞きして、少しでも気持ちがラクになってもらえた時はお役に立ててうれしい気持ちになります。

 

⑦お仕事をされている中で気を付けていることは何ですか?

子どもたちがどこに困っているか丁寧に見つけていくことを気を付けています。またトレーニングが嫌にならないように子どもたちにとって楽しくトレーニングできるように心がけています。

 

この質問に答えた回答から分かったことを、1人ずつ新聞にまとめてくれていました。先日娘の学級懇談で学校に行くと、子どもに何か教えているような絵を添えて、新聞にまとめてくれているのが飾られていて、うれしかったです。

3学期はこの内容をパソコンで発表することになるそうです。(参加したいw)


知ってもらうこと

私はこの仕事が好きですが、「言語聴覚士になる人がもっと増えてほしい」「もっと知ってもらいたい」みたいな気持ちは他の言語聴覚士さんに比べると少なめで、SNSを見ると先生方の職業愛に触れて尊敬のまなざしでみています。

そんな私ですが、小学生の子たちに

・知らない仕事がまだまだいろいろあるんだ
・自分とは得意や苦手が違う子たちがいるんだ

と言うことを知ってもらいたいなと思いました。

YouTuberやケーキ屋さん、スポーツ選手、看護婦さん……
知っている仕事の中になりたいものが、もしなくても
実は知らない仕事はまだまだあること
そして今仕事じゃないお仕事がみんなに大人になる頃には新しい仕事になっているかもしれないこと

視野が広がるきっかけになっていたらうれしいなと思います。


そして、クラスには

・支援級や通級を利用してる子
・人工内耳や補聴器を使って授業を受けている子
・保健室登校している子
・不登校の子
・場面緘黙の子
・吃音の子

もいます。


色んな子どもたちがクラスメイトとして過ごしてる学校。
授業の参加の仕方もそれぞれ。
クラス以外の場所でサポートを受けている子もいること。

あらためて色んな子たちの世界に触れるきっかけになれていたらうれしいなと思いました。


とってもレアな小児STの世界に興味をもってくれた3年生のみんなありがとう。みんなが書いてくれた新聞を読んだ他の子たちにもあたたかい輪が広がっていきますように♡


 

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