「バンクシーって誰?」展についてと、感じたこと。
覆面アーティストのバンクシー。その過激なメッセージやスタイルから、芸術テロリストと呼ばれています。
正体不明 神出鬼没
いつ、どこに、どんな作品が出現するのか…
誰にも予測は不可能。バンクシーらしき作品が発見されれば、ひとたび世界中で話題に。
でも、そもそも バンクシーって何者?
何をしてるんだい?
そう思っている人は、私も含めて多いはず。
今回は【福島の旅】2日目
ビッグパレットふくしま(郡山市)で開催中の「バンクシーって誰?」展のレポ。
バンクシーがアートを通して発信していることも、書き留めておこうと思います!
展示の域をこえた展示
会場のビッグパレットふくしまは、わりと大きめのイベント会場。地域密着型で物産展や就職フェアなんかが行われるような、そんな感じ。
だから、ね。完全に油断してたんですよね。
入ったとたん、これ。
ここは舞浜かな。または大阪。
「展示=額に入れられた作品がきれいに並ぶもの」と思ったら大間違い!(実際そう思ってた…)
テレビ局の美術チームが総力を結集しただけあり。リアルサイズのストリートアートが完全再現されてる!!
ちなみに「Aachoo!」は2020年発表の、くしゃみで入れ歯を飛ばすおばあちゃん。本物があるのは、イギリスの「ベイルストリート」の家の壁。
通常「バンクシー作品では!?」と騒がれると持ち去られたり、破壊されたり、上書きされることもあるそうですが、この作品は保護されてキレイな状態で残っています。
イギリス政府の情報活動に対する批判を込めた作品。批判されたイギリス政府通信本部が、この壁画に対するコメントを発表して話題に。
額に入れられた作品も
街の一角に描かれたネズミの絵。もともとネズミが持つプレートに書かれていたのは「ロンドンは機能していない」という皮肉。
「I♡LONDON」というメッセージに書き換えたのは、バンクシーとグラフィティバトルを繰り広げていたキング・ロボ。
細かい演出が効いてる!
潰された空き缶、飲みながら吸ったであろう吸い殻。誰かがここで一服したような、そんな気配すらあります。
まだ50mも歩いてない…撮りたいものがありすぎて、ぜんぜん前に進めないぞ…
フェルメールの名作「真珠の耳飾りの少女」の耳飾りを、黄色い警報器で代用した作品。2020年新コロが広まり、新たにマスクが加えられた。
トンネル通路のよどんだ壁色を活かす発想力というかアイディアが天才!薄暗い照明や監視カメラ、無造作に貼られたステッカーもリアル。
2006年にロサンゼルスの倉庫で開催された「ベアリー・リーガル」展を再現した一角。ペイントされた像がすごい迫力です!
ガスマスクを着けたエリザベス女王の上を飛び回る、ガスマスクを着けたハエ。「無条件に規則を遵守する人々」に警鐘を鳴らす作品。
THE WALLED OF HOTEL
ホテルも経営しているバンクシー。場所はパレスチナ。
通称「世界一眺めの悪いホテル」と言われるこのホテルから見える景色は、イスラエルが建設した分離壁のみ。
分離壁とは、パレスチナ人の自爆テロ防止を目的に作られた壁のこと。見上げるほどの高さ。
その壁を逆手にとったのがバンクシー。壁に作品を描き、ホテルの窓から楽しんでもらおうというのが狙い。
今では「バンクシー作品を見たい」という人が世界中から訪れる、主要な観光地に。雇用も生まれて、地元に貢献しているらしい。
この展示だけは、他と違い映像投影。まるで窓から眺めているかのように、次々と作品たちが映し出されます。
バンクシー展全体に言えることですが、BGMも印象的でした。BGMといっても音楽ではなく、車のクラクションや話し声など。
その場所にいるかのような、見るを超えた疑似体験になりました。
火炎瓶ではなく、花束を投げつけようとする暴徒。「バンクシーって誰?」展のポスターにも使われている、有名作品のひとつ。
イスラエルの軍事攻撃を受けて、廃墟化した家の壁に描かれた子猫。かわいい子猫と周囲の悲惨な状況が、対照的すぎると話題に。
バンクシー曰く「ネットで子猫の写真ばかり見ている人たちに、この悲惨な現状を伝えるために描いた」とのこと。
バンクシーって猫も描くんだ!なーんて、ちょっとはしゃいでしまった自分が恥ずかしい…
スティーブ・ジョブズ
タートルネックとジーンズというお決まりスタイルで登場した故スティーブ・ジョブズ!見慣れた人がいると思ったら…
右手には初代Macを持ち、難民のように肩から袋をぶら下げている。
この作品がある場所は、フランスの難民収容所の壁。難民を取り締まる各国に対して「難民は国のお荷物だっていうけど、ジョブズはシリア難民の息子だ」とバンクシー。
「大企業に成長し高額の税金を納めるアップル社が存在するのもシリア出身の難民を受け入れたから。次のスティーブ・ジョブズの可能性も奪いかねない」というメッセージらしい。
銃を持ち、重装備で歩く警察。かわいいはずのニコちゃんマークが、不気味さを演出してます。
Girl with Balloon
アートに興味ないって人も、この作品は見たことがあるんじゃなかろうか。オークションで落札されたと思ったら、シュレッダーで断裁されて話題になったのもこれ。
風船は手から離れていったのか、それとも掴もうとしているのか。作品に添えられたメッセージは「希望は必ずある」…見る人によって捉え方が違うのも、きっと面白いところ。
忘れられない作品たち
Napalmはもともと、ベトナム人写真家が空襲から全裸のまま逃げまどう少女を撮影したもの。真ん中の少女は、ファン・ティー・キムフックさん。(1973年当時9歳)
その写真に手を加えたのが、この作品。
ディズニーも好きだし、マックだってたまには食べる。とくに恨みはない。でも夢と現実の対比に、とても辛い気持ちになったのも事実。
平和な日本に生まれたことに、まずは感謝しなきゃいけないなぁ。
「Napalm」からも分かるように、バンクシーはディズニー批判も多め。愛着もあるキャラクターたちだけに、ちょっと心が痛い。
イギリス議会を批判した油彩画。こういう絵を描いても、この仕上がり…ハイレベルすぎませんか。落札価格は約13億円と、超高値がついた作品。
Moronsとは「バカ」とか「能無し」の意味。作品内には「こんなガラクタを買うバカの気がしれない」というメッセージも。
バンクシーは自分の作品に大金を払う人たちも軽蔑しているんだって。高値で落札される=バンクシー自身はうれしいのかなって思ってた…
「私が素性を隠すまで、誰も私のことなど気に留めなかったのに」と皮肉たっぷりにコメントしているのも、うなずけます。
もともとバンクシーが好きな人も、詳しくないよって人も。この展示は楽しめる!美術館とか苦手な人でも絶対楽しい!
バンクシーが「素性を隠すまで、誰も私のことなど気に留めなかった」と言っているとおり、正体不明だからこそ気になるみたいな部分もたしかにあるけど。
バンクシーが発信していることから知らなかった世界が見えて、何よりも勉強になりました。
お土産はまさかの「フチ子」
バンクシー展でもポストカードがあったら…と思ったけど、数種類しか売ってないうえにピンとこない。そのかわり、面白いものを発見しました。
バンクシー作品風のフチ子さん。中身は3種類。
フラワーかバルーンがいいなぁ…
これはこれでかわいい。飾っておきたいけどフチ子さん、なぜかうちの猫に狙われてる…。バレないように、あとで飾ろ。笑
「バンクシーって誰?」展は8月24日まで。今回紹介した作品は、ほんの一部です。お近くの人はぜひぜひ行ってみてくださいね!!!
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