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ブルース・スプリングスティーン随想

スプリングスティーンがアルバム『ネブラスカ』を出したのは1982年の9月。
前作『リバー』が出たのは1980年の10月なので大体2年後だ。
思いきりバンドサウンドのリバーは、2枚組、20曲収録である。
対してネブラスカは「自宅録音」で、全10曲である。ティアックのMTRを使ったらしい。
リバーもネブラスカも、現在、ひじょうに評価が高い。
どのサイトも、雑誌も、Amazonも、wikiも、絶賛の様相である。
ただ、私はどちらのアルバムにも、「深入り」できたことがない。


「不器用」「男」「魂」云々というものを、スプリングスティーンの形容として使うのはやめよう、というようなレビューを、色んなところで、見かける。ネブラスカのLPに付いている解説にも、そのようなことが書いてある。
しかしまあ、スプリングスティーンの声や、歌い方や、演奏の雰囲気からして、そういう形容を
全く排するのは、難しいとは思う。
私としては、リバーも、ネブラスカも、「うまいこと作ってるなあ」という感想が、まず、出てくる。
自分が「言いたいこと」が、きっちりズレずに、
伝わるような音作りを、器用に、じつに器用に、スプリングスティーンはやっている。
ただ、この2作のアルバムに、私はあまり深入りできない。


音作りとして成功しているか不明なポールサイモンのアルバム『時の流れに』(の特に1曲目)などには、異様な霊気のようなものがあって、じつはそれが私を感動させているような気がする。
そのような霊気は、スプリングスティーンの場合、ネブラスカの次作『ボーンインザUSA』、および次々作『トンネルオブラブ』のほうに、より多く感じる。

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