『読みながら書く』 4
四、佐野洋子
今日ネットで知ったのだが、”FreeCAD”というCADソフトは面白そうだ。3D物体を扱えるCADソフトとしては珍しく、無料である。3Dプリンタを持っていれば、FreeCAD上で設計したコップとかドアノブとかスツールを物体として出力できる。普通の2D図面も書ける。使いこなすことが出来れば、楽しいだろう。
日中に書いたいくつかのメモが手元にある。「随筆を書くよりももっとすぐれたやり方があったらどうするか」「もっと優れた書き方・ノウハウがあったらどうするか」「エクセルやCADの学習法は今のままで良くはないだろう」等々。読むと、私の不安のパターンというか、形が見えてくる。最後のメモには「答えがあるという感覚、キチッと整ったという感覚が、今はない。しかし時にはこのグチャグチャとした、ラフな感覚のまま、考えたり、行動してもよいはずだ」とあり、一応区切りをつけようとした事が伺える。
こうして家に帰り、ウェザーリポートのアルバム(『ブラックマーケット』)を聴きながらボーっとしていると、これらのメモに書かれた不安が、元々身にまとっていた不安感を失って、単なる「質問文」として私の目の前に現れてくる。私はボーっとしつつ「どうするかと聞かれても、分からないよ。いっそ開き直って、盛大に大失敗してしまえよ。その方が色々はっきりするし、学ぶ事もきっと多いだろうよ」などと思う。
とりあえず横になって、なにか本を読もう。
『100万回生きたねこ』の作者、佐野洋子が書いた文章だ。
こういう文章を読むと、豊かな心とはこういうものだな、と思う。心の窮屈感が緩和される。
これは強力な文章である。今、私の心は穏やかとも穏やかでないともいえぬ、微妙な状態であるが、これはこれで良いという気がしてきた。さあ、風呂に入って何もせずに寝よう。
(2023年6月14日)