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娘のトマトチャレンジがかわいかった件。
「お家に帰ったらトマトを食べる!」
突然、車内で娘が高らかに宣言した。
「いやいやいや、トマト嫌いじゃん。なんで急に食べたくなったの?」
晩ごはんを食べた帰り道に起こった娘の気まぐれ。今夜は冷蔵庫はほぼ空っぽだ。トマトもストックなんかしちゃいない。
「食べたくないけど食べるの! 食べてみるの!」
わけも分からず頑なな娘。だが、キュウリも食べないとなぁという呟きでピンときた。
※※※
明日は幼稚園の「お泊り会だったはずの日」。このご時世なのでお泊り会ではなく、少し夜遅くまで幼稚園で過ごすという内容に変わっている。
明日のイベントを心から楽しみにしているようで、今日もことあるごとに大興奮していた。
ただ、娘には心配なことがひとつだけあった。それは晩ごはんのトマトが苦手なこと。幼稚園でみんなで育てた野菜が夕食に並ぶのだ。
キュウリ、トマト、ジャガイモ、オクラ、色んな野菜が並ぶのだという。
その夕飯のトマトの件を思い出したのだろう。
「もしかして、トマトを食べる練習したいの?」と聞くと意を決したような表情で頷いた。
※※※
スーパーでミニトマトを買い、スライスしてお皿に盛った。いまからトマトを食べるんだと思うと緊張がとまらない娘は「自分で切る!」だの「薄くして!」だの騒々しい。
ふんふんと興奮しながら「マヨネーズください!」と叫び、スライスしたミニトマトにソフトクリームのような渦巻きを作った。
「やっぱりトマト食べるなら、スプーンよりフォークやな。。。。やっぱ手で食べる!」
トマトを前にちっとも手が伸びない。挙句の果て、クリームを舐めるように、指先でマヨネーズをすくってはペロペロとなめはじめた。
ほとんどのマヨネーズをなめ終わるころ、もう食べたら、と促してみた。
パンドラの箱を開けたパンドラのような面持ち(知らんけど)で、トマトのスライスを手に取る。もう一度言うが、"ミニ"トマトのスライスだ。
恐る恐るペロっとなめる。
「いー!」
目をギュッと閉じて、身体をプルプルと震わせる。いや、舐めたのはマヨネーズだろと言いたくなるが、ガマンする。
「よし! それじゃ、パクっと!」なかなかバンジーを飛べない人を励ますときはきっとこんな気持ちなんだろう、さっさと食っちゃえよ、と言いたくなるのを堪えて励ます。
もう一度、舐めようと舌を伸ばすが。いけるか?
いけない!!
娘のトマトチャレンジは、ひと舐めで終わりをむかえた。
だけど、よくチャレンジしたものだと思う。明日、なんとかしてトマトを自信たっぷりに食べたかったのだろうな。5歳には5歳のプライドがあって、それは乗り越えるべき壁なんだろう。
さあ、明日はどうなるかな。
食べても食べなくても、自分に納得の結果で帰ってくればいい。
では、また明日。
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