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見守る勇気

自転車に乗りながら転びそうになっている娘を見ながら、親としてできることなんてたかがしれてるんだよなあと思った。

自転車が倒れても、転ばないように支えてあげることはできない。
転ばないようにずっと付いていることはできても、それじゃ娘はいつまで経っても自転車が上手にならない。

結局、転ぶかどうかはわからないが、転んだ時に怪我をしてないかどうか、確認することと、その後自転車に乗り続けられるように背中を押すことくらいしかできないのだ。

娘は軽快に自転車を漕いでいる。
地面の小さな凹みに車輪がガタンと入り込み、そのまま転んでしまった。
補助輪が付いていても転ぶ時はちゃんと転ぶのだ。

転ぶことも、失敗することも悪いことじゃない。ただ、それを見守る勇気がなければ失敗をさせてあげられない。

親になって、はじめて失敗させるには勇気が必要なのだと知った。
子どもが転ばないように全部先回りしてしまうのは、子どものためでもあるが、その姿を見たくない自分のためでもあったりする。

ドラえもんは、のび太の失敗を先回りして予防することはしない。必ずのび太が先に失敗をして、そこからのリカバリーを手助けする。
そして、どんなに便利な道具があっても最終的には道具の力だけでは問題は解決しない。
また失敗に終わるか、道具を超えた人の力で乗り越えるかだ。

親の力は、子どもにしてみたらドラえもんみたいなものだろう。
自分にはできないことを、簡単にやって見せてしまうことはひみつ道具みたいなものだ。
大人は、高い所に手が届く。冷蔵庫を開けられる。ハサミで上手に紙を切れるし、字も読める。
子どもは便利ですごいその力を使って、自分に起こる数々の問題を解決できるし、させようとする。

だけど、子どもに起こる様々な問題を、親が予防し、解決していたらいつまで経ってものび太のまま成長しない。

子ども自身に失敗する勇気が必要なように、親にも見守る勇気が必要なのかもしれない。
親としてできることなんて、結局のところそんなもんなんじゃないかと、自転車で転ぶ娘を見ながら思った。

そう思えば、親業なんて気楽なもんだ。

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三木智有|家事シェア研究家
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