見出し画像

「もう小学生なんだから」で何でも押し付けちゃダメと反省した夜。

子どもがひとつ成長すると、途端に多くを求めてしまったりします。
もちろん良かれと思ってのことではあるけど、無意識にやりすぎちゃったなと、反省を込めて。

「今日はもう最悪の日や。疲れた」

お風呂の中。我慢しきれなくなったように娘の目から涙が溢れた。

きっかけは「今日は自分で身体洗ってみようか」というぼくの一言。
でも、いつもならそんなことで泣いたりなんかしない。
今日は、それ以外にも色んなことが重なっていたのだ。

先日行われた入学式。後ろから娘の姿を眺めていたら、背中がくるりと丸まっていた。
前から気になってはいたけど、彼女は猫背気味。
背筋を伸ばした状態を維持するのが大変なようだった。

とくに、新しい家に引っ越してきて床座の生活になってからその姿勢の悪さは目立つようになっていた。

なんとなく気になっていた猫背が、入学式を機に治すべき課題として頭の片隅にインプットされたのだ。

そしてふとゲームをする娘を見ると、やっぱり背中がくるりと丸まっている。

「今日からゲームするときは、この椅子に座って背を伸ばしてやろう」

そう言って、小さな椅子を差し出した。
最初は特に嫌な顔もしていなかったけど、だんだん崩れてくる姿勢にフィードバックするうちに嫌になってきてしまったようだった。

娘は顎が小さい。
歯の生え変わりに必要な永久歯のスペースが足りてないと歯医者に言われ、いま歯科矯正を検討中である。

あまり固いものを食べさせてこなかったし、しっかり大きな口をあけてよく噛んで食べることをこれからはしていかなくちゃね、なんて話をしていた。

娘もそれはわかっていて、自分から「リンゴ丸かじりする!」などとやる気満々。

これまでは小さく切っていた野菜も、乱切りにするなど大き目のゴロゴロサイズを心がけるようにした。

一方で、娘は野菜が苦手。
でも「そろそろ小学生だし、少しずつ食べられなかった野菜も挑戦してみよう」と、一緒に野菜チャレンジもしてる。
ほんの少しずつではあるけれど、食べられる野菜だって増えてきている。

そんな事情を抱えた今夜の晩ごはんはシチュー。
苦手な野菜も入ってるし、大きなサイズの野菜もある。

「これ、全部食べなきゃダメ?」

嫌そうな顔をする娘に、

「嫌なら自分で避けながら食べな」

と言ったら、全部残そうとしたのでさすがにそれはないわ、ということでブロッコリーだけは食べることに。

大き目にカットされたブロッコリーをチマチマと食べる娘。
食べたくない気持ちが全身に表れ、無駄に喋ったり文句を言ったり、遊び食べしたり。

でも今夜は逃さなかった。

「君は野菜から逃げすぎだから、そろそろちゃんと食べるようにしな」

と伝えた。悔しそうな顔をしながらなんとか涙ながらに食べ終わった娘。

背筋を伸ばす。
野菜を食べる。
自分で身体を洗う。

大人からしたら、どれも別に大したことじゃなくて。
それが娘にとって引きずるほどの重荷になっていたなんて思いもしなかった。

「今日はもう最悪の日や。疲れた」

お風呂での一言のあと、何が辛かったのかよく聞いてみることにした。

「なにが大変だった?」
「座るのも、ブロッコリーも嫌やった」
「確かに大変だったねぇ。座るのは背中痛い?」
「痛くはないけど、ずっとは無理」
「時間が長かったってこと?」
「そう! 長すぎや」
「じゃあ、時間を決めるのはどう?」
「それならいいよ。だって背中丸いのはあかんやろ」
「そうそう。だから、少しずつやるようにしてみようか」
「ちゃんと時間決めてな!」

背筋については、時間を決める、ということでお互いの納得点を見つけることができた。
残りは、ブロッコリーだ。

「ブロッコリーはさ、お弁当に入れてもちゃんと食べられるじゃん。今日はなんで嫌だったの?」
「大きすぎて嫌だった」
「そっか。でも顎のために大きなまんま食べて欲しいんだけどな」
「ジャガイモなら大きくてもいいけど、ブロッコリーは嫌!」
「あぁ、嫌いな物が大きかったから辛かったのか」
「そう!」
「『大きくて固いのを食べる』と『苦手な野菜を食べる』が一緒になってたからきつかったんだな」
「それは無理やで!」
「じゃ、今度からは『苦手な野菜を食べる』のときは小さく切る。『大きくて固いものを食べる』は好きなものでやる。これでどう?」
「それならいいよ!」

娘とじっくり話をしていくと、彼女にとっての壁が少しずつ見えてきた。
ぼくも、親として感じている課題を噛み砕きながら娘が乗り越えていけるサイズまで小さくすることもできた。

「こんな小さいことでブツブツ言わないでがんばりなよ」

と言うことは簡単で。それだけ伝えて、後は子どものがんばりに任せてしまうことだってできなくはない。
でも、課題を一緒に噛み砕くことで乗り越えやすくなるのならそうしてあげたいと思う。

目的は、娘ががんばることじゃなくて、背筋が伸びることと、野菜を食べるようになること、顎が大きくなることだから。

「もう小学生なんだから、これくらいはがんばれ」
なんて、ついつい口にしてしまうけど。

そんなふうに丸投げしてしまうだけじゃなくて、一緒に乗り越えるための対話を重ねていきたいなと思うのです。

では、また明日。


ーー✂ーー
👉 記事を書いてる三木智有ってどんな人?
👉 子育て家庭のためのお部屋のコーディネートに興味ある人はコチラ
👉 お部屋づくりのコツが知りたい方はこちらのマガジンをどうぞ
👉 人気の記事だけ読みたい、という方はこちら


いいなと思ったら応援しよう!

三木智有|家事シェア研究家
最後まで読んで下さり、ありがとうございました! スキ・フォロー・シェアなどしてもらえたらとっても嬉しいです。 ぜひまた見に来てください!!